目覚めの遠い薄暮
軋んだ壁の向こう側
迷いあぐねた扉の向こう
虚空に乞う細やかな十指
世界は何で出来ている?
泡沫はふわりと憂いに溺れる
不透明度13%の縁
きれいな余白
揺らぐ境界
先に答えたのはどちら?
ほどき忘れた赤い糸
置いてけぼりの青い鳥
たくさん供えた黄色の花
鎖編みの白レース
錆色の鍵に願いを込めて
つまづいたひとりごと
ロバの耳をそばだてて
つまらぬ願いは後一つ
汗の苦味はくちに満ち
棘も構わず手を取った
輪郭の無い立方体
嗚咽をあげる一つ手前
目が醒めてからキスをして
ノットイコールの証明
嘆きもいつか泡となって
春の巡り合わせですら苦しいのに
音楽を飲み下す
夜明けを謳え
君だけが溺れていく
振り向いて欲しかった
出会いの挨拶をもう一度
聴き飽きた悪態
寂しさを着飾る
雨上がりの傘は重たくて
私をきちんと置いていってね
真を嘘と成す前に
ポリゴンで出来たドレスを着ているの
遠回りをして来た君は何を告げる
"優しさ"があたたかなものだと知った上で
凍えた指でも託せるから
露払いの好むもの
挟んで綴じた誰かの悪夢
裾をつまんでひけらかす
明日を違えた次の日に
それは確かな夢物語
吐き捨てるように謳え
アイスコーヒーにすれば良かった
明日の夜には出会えるだろうか
揺り籠の中で溶け落ちる陽を待ち望む
どれほどの喜びで君は瞳を閉じるのだろう
柔らかな灯りに身を寄せたような
静電気が起きるのを怖がるみたい
愛しいってどんな気持ち
星で良ければと笑った君へ
月が綺麗だと泣いた貴方へ
叫愛に咽び泣いて
傘の隙間で燻る熱に
爪を剥ぐまで君のもの
棺の君に伺い立てても
ススキに鈴虫刈られた穂
したり顔の蛇は蛙に飲まれる
トマトスープを溢してみたら?
起立規律切り詰められる
生に是と帰して
宵が褪めても
シャボン玉の墓場
はくり、と貴方の吐き出す空気になれたなら
突き刺して縋るの
鈴がなるなら飛んで行くから
夢の中で朝ごはんを食べるなんて
君が花を供えてくれるだけで、僕は
白紙も折れれば欠け落ちる
返った器と還った蛙
博識な忘れ者
飴目玉のお人形
跳ねて踊る様を
硝子玉は歪んでる
震えねば生まれぬもの
夢に堕ちても救われず
星に願いが届くとでも?
底無し沼の底のそこ
目と鼻の先にはキャンディが
軽快な足音 鼻歌 視界を埋め尽くすは
憂いたのは誰だったろうか
帯に支えられ前を向く
優しげな笑顔を見たかった
君と囲む食卓はきっと
地味な場所ほど強く痛む
心落ち着く飲み物を
爛れた手に残るは輝く原石
月が怪しく感じるのは
翳るから染まる空の色
霧雨の中、さっぱりしたものを探す
水底はきっとあたたかい
無知を願って