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夢現(ロール)





例えば、何も口にしないという行為が死を意味するのだとしたら自分は既に数日前から死人として認識されるのであろう。
別に死にたいわけじゃない。
かといって生きていたいわけでもないので今の現状に大した疑念を持つことはなかった。
今ここで終わったとしたら自分はその程度の人間であったということだ。
しかし残念ながらまだ息が出来る。
心の臓は動いている。
投げ出された体でも、まだ生きる事を放棄していなかったのだ。
自分のいる部屋にあった大きな鏡をぼんやり見つめて、乾いた唇を舌で舐める。
少しだけ、ピリピリした。
首しか動けなくなった体は大層無様に写っているだろう。
今では普通の人間よりも困難な体だ、きっともう憐れみで側にいるのだろう。
部屋に散らばった包帯は自分の傷を癒すのに使っていたものだ。
もう使い道なんてないのに血だらけのそれはまるで絨毯の様に敷き詰められている。
波打つそれに無意識に目をやっていると、突然そこに踏み込まれた脚。
ぐしゃりと踏み潰しながらこちらへ向かう相手はもう顔を見なくてもわかる。



「おはようお姫様、イイユメは見れたか?」



まだまだ見れない、見れないんだ。
あぁ、貴方が手にするそのメスで今日こそは、イイユメを見させて下さい。













夢現

(すべてが夢ですべてが現)



END



もしルフィの傷が治らないものだったらローさんが引き取って下さいみたいな←
てゆかローさんが治してくれないのかも(笑)←←←


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