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神様の殺し方をあの日、知ってしまった(ル独白)


※パロ



歓喜に震えながら、心では悲しむ兄の姿を見た。
悲しみに震えながら、心では嬉々とする兄の姿を見た。
どちらも自分を抱きながら、ただ名前をひたすらに呼んでくれる。
大好きだった、どちらも自分にとっては大切な兄だった。
自分がいるのは彼等のおかげだと思うし、実際そうだ。
二人からの愛情を重いと思ったことはない。
寧ろそれが自然な事で過保護なんて思ったことすらなかった。
兄は自分を心配してくれている、そう思う程度だった。
それがいつからか兄達の自分を見守る目が、愛情が、絡み付くようになってきた。
最初は気づかないくらいほんの少しの変化だった。
鈍感だと言われる自分でも解るほど、最近はその粘着質な視線が向けられるようになった。
彼等が自分に何を求めているかは直ぐにわかった。
でもそれはすぐに与えなかった。
焦らした方が、面白いと思ったのだ。
それがこの結果だったのかもしれない。
遊びすぎた結末は残酷にやってきて、限界を迎えた兄達はもうあの優しかった頃の面影は無くなってしまっていた。
そう、自分が、彼等を。



「エースも……サボも……もう…………」



隣にあった温もりは、二度とも戻らなかった。
目が覚めて、二度とも横に兄の姿はなかった。
一人は逃げたのだろうか。
一人はそれを追ったのだろうか。
それももう自分にとってはどうでもいいことだった。
白いシーツに包まれた、綺麗に洗われた身体を見下ろす。



「あーあ……汚い、汚いよ」



さよなら、さよなら、さようなら。
今日、たった二人の兄は、自分の元から、去りました。
いいえ、私が、壊しました。

私が、コロシマシタ。



















神様の殺し方をあの日、知ってしまった

(ごめんなさい、謝ってももう遅いけれど)






END


サボルの『絡まった業に〜』の後のお話。
サボに抱かれて気絶して、目が覚めたらまた一人ぼっち。
結局彼等は自分を愛しきる自信がなかったのか、それとも自分の自惚れなのか。
考えてももう遅い、そんなルフィちんの独白。

全ての原因は、弟だったのかな……




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