長 b | ナノ



瞼を開ければ、そこはここ数年で見慣れた天井だ。
特に変わったものもない寝るだけのための部屋である。
そんな部屋で目が覚めてから、キシリと体が軋むのを感じた。
その痛みでやっと、そういえば昨日は……と思い出す。
からからに渇いた喉を潤したくていつもベッドサイドの机に乗せてある給水器を探すが、何故か今日は見当たらなかった。
手探りで探すから見当たらないのだと身を起こし、再度探してみるが水どころかコップすら今日は置いていない。
正直なところ、水なんて気休め程度にしかならないのだが無いよりはマシである。
慌てて部屋中を見渡すが彼奴の姿はなく、再び己一人というチャンスが訪れていた。
ただ立ち上がった体はよろめき、まともに歩けそうではない。
フラフラとした足取りのまま扉へ向かうが、残念ながらその戸には鍵が掛かっていた。



「こんな、時に限って、鍵…を、掛けおって……」



渇いた喉をなんとか潤そうと唾をゴクリと飲み込んでみるも、それは一瞬のものでしかなく今の自分には何の意味もないものであった。
苦しくて思わず喉に手を伸ばし掻きむしりそうになる。
しかし以前血が出るほど引っ掻いたのを見た佐助に物凄く叱られたのを思い出し、なんとか立てようとした爪を引っ込めた。
ただこの癒えない渇きにやり場をなくした手が宙を掻き抱く。
こんな時でも求めるのは彼奴で、それは衝動として仕方がないものだと理解をしているも口惜しい。
まるでそれは彼奴がいないと生きられないと決定付けられているようで嫌だった。



「我慢ならぬ!」



部屋に木霊した声と共に、ガムシャラに己を掻き抱いた。














あぁ、誰も返事をしてくれない。





































短いんですが今回はここまでで(汗)
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