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確信なんてないのにいつまでも待ってても来ないものは来ないわ、そんな風に愛が政宗に言ってから三日経った。
幸村がまた来るのではないかと毎朝コンビニで朝食を買うが、残念ながらまだ現れることはない。
愛が会ったという時間まで常に粘るが、連日不発に終わっている。



「ねぇ、本気で待つの?もう諦めなよ」

「まだ三日だ、諦めるには」



隣でグチグチ言いながらも結局は付いてくる愛を振り返り、三日続いた同じ台詞を吐こうとした政宗だったが言葉が突然途切れる。
振り向いた先には、見覚えのある顔があったからだ。



「お久しぶり」

「お前は……猿!?」

「あぁ、この時代も隻眼なの?ついてないね……それとも運命ってやつかな」



へらへらとしながらコンビニに入ろうとした男は、あの時代から丸で変わっていない容姿で現れた。
こちらもどうやら記憶を残しており、更に姿形も昔のままらしい。
迷彩柄の服ではないが、猿飛佐助という男は現代に存在している。
そして幸村が現れた場所にこの男がいるということは、即ち自分が探している相手がもう目前だということ。
昔の感傷に浸るつもりはない、今すぐにでも会いたい。
手掛かりを持っているならそれが聞ければもう何も言わない。



「幸村はどこだ」

「直球だねぇ竜の旦那。あ、今はただの政宗かな?それとも名前も違う」

「お前とくだらない話をしている暇はない。言え、幸村は」

「一緒に暮らしてるよ」



あっさり口を割った相手に拍子抜け、そして予想は的中した。
やはりこの男は今も幸村と共にあるらしい。
もし政宗の隻眼と同じように佐助と幸村が共にあることが運命だと言うのなら、それは政宗にとって残酷しか残さないだろう。
それでもあの最後は、自分の納得のいかないものだったから。
確信はないけれど、愛の名を呼んだ事は事実である。
万が一断片的なものだとしても記憶があるのならば、約束を果たしたい。
政宗の意思は固く揺るぎないものであった。



「何、会いたいの?」

「当たり前だ!」

「そ……まぁそれも理、か。いいよ会わせてあげる。ついでに彼女も連れてきなよ、喜ぶよ幸村」



人が好きそうな笑みでにんまりそう告げると、佐助は政宗の後ろにいた愛を指差して誘いを掛ける。



「こいつは彼女なんかじゃ」

「はい、ご一緒させてください」

「愛!?」



過去、幸村と恋仲だったにも関わらず立場上政宗が婚約していた正室がこの愛である。
彼女自身に記憶はないが、やはり何の因果か現世の今同じく時を過ごしていた。
あの時代、仕方がないとわかっていても幸村は辛かったであろう。
それでも自分の側で過ごしてくれた相手に、この男はまたそんな想いをさせようというのか。



「テメェ……何企んでやがる」

「別に何も。俺様は幸村が喜んでくれることをしたいだけさ」



そう言い切る佐助に、ギリリと奥歯を噛み締めた。
確実に面倒な事になる予感しかしない。
しかしここでの縁を切ってしまえば、もう二度と幸村に会うことが出来ない気がした。



「チッ……いいぜ、連れていけ」



面倒が起こることは確実にわかっている。
それでもこれが運命だというのなら、幸村に会える運命なのだというのなら。
喜んで受け入れよう。



























取りあえずまーくんとオカンがお会いしましたので次は勿論幸たんのターンですねwww



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テーマ「人外ファンタジー」
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