ここにいた誰か
兄弟佐幸で10才前後パロ。
初めて見た顔だった。
構えて突き刺した獲物はアッサリと事切れ、恐怖におののいた顔のまま地に伏している。
重力に逆らうことなく崩れ落ちた相手を、思わずただじっと見つめていた。
あれが先ほどまで生きていた人間だなんて思えない。
触れた身体は冷たくなっていき、その代わり床を這う鮮血は暖かかった。
「だん……な、」
「ん?あぁ…そうだな」
なかなか言うことを聞いてくれなかった口が開き、相手の名を呼ぶと一度こちらに振り向き何かを思い出したかのように頷いた。
そして振り上げられた獲物。
声を出して止めなくてはと思ったのだがもう遅かった。
「うむ……なにやらこうしておらぬとおちつかぬな」
少し長めの刃は無反応な死体の首を跳ねた。
一発ではどうにも上手くいかなかったので二度三度と同じところを切り付ける。
肉の断面と骨が見えて、あぁ人間もやはり動物と同じなんだと無駄に冷静に見ていた。
切り付ける度に吹き出る血の赤も、彼に掛かると何故かとても美しく見える。
「……どうした佐助。それがしがうちとった、もうあんしんせい」
そう、いつもの笑顔で話しかける貴方。
あぁでも今ここにいる貴方は俺の知っている貴方じゃない。
血にまみれ、赤を纏う貴方は確かに貴方で。
地に伏せる首のない死体をこうしたのも貴方で。
その首を手に、平然としているのも ア ナ タ …
「どうしたのだ佐助、どこへいく?」
慌てて駆け出した。
警察に連絡しなければと、母親が殺されたのだと連絡しなくては!
そこまで考えて、ふと足が止まる。
この事実を知るのは今ここにいる自分だけで、幸村には悪気なんてなくて。
上手く行けばあの床に転がる人だった邪魔者を使って、長年の願いである二人だけの生活を手に入れられるのではないか……と。
「……佐助?」
幸村が手にしていた刃物を手にとる。
そして自分も母親だったものを切り付ける。
吹き出る血はもう既に冷たくなっていたが、そんなものは関係ない。
顔も体も血塗れで気持ち悪いが、まぁいい。
これで準備は整った。
「旦那、旦那。いまここであったことはひみつだよ?」
「ひみつでござるか?」
「そう、おれさまとふたりだけのひみつ。なにがあってもなにをきかれてもはなしたらだめ。しらないっていうんだよ」
「うむ、わかった!」
にぱっと輝く笑みを浮かべる相手の頭をよしよしと撫でると、佐助は今度こそ電話に手を掛けた。
「……もしもしおまわりさん?たいへんなんだ、おかあさんがまっかになってたおれてるの!!」
ここにいた誰か
(いないよ、ここにはだれもいない。だってだれもしらないでしょ?だれかいただなんて)
END
佐助と幸村で、義理兄弟ネタでした。
説明ないとわからんちんなので長々と語ります←
お母さん違いの佐幸で父も母も死んだ佐助が幸村んとこに来たら幸ママに散々虐められ人以下の扱いを受けていたのに幸村が怒ってやっちまったなあ、な話←
正妻は佐助ママ、浮気相手が幸村ママでした。
幸村にはちょっとだけ前世の記憶有ります殺し方だけとか(ぇ)
なんで母はもあっさりさっくり死にました。
実のお母さんでも幸たんは許せないことがあればさっくりいきます←←←
佐助は特に記憶はありませんが、本能で幸村と共に自分はある、彼のために生きるんだとかって思ってたりします恐らく(ぇ)
突然なんだかなぁな話失礼致しました。