短 b | ナノ
墜落、ついらく、終に、楽に

佐幸




俺の心を愛してるなんて言葉で満たさせるような事はさせない。貴方の上下するその胸元を引き裂いて鼓動を止めて、そして全て喰らい尽くして自分だけのものにしてしまいたいのだ。それくらい思って願っているのだからそんな陳腐な言葉では満足出来ない。あぁ例えばその腕を一本くれたとしても、その足を一本くれたとしてもそれは貴方の破片なだけで貴方ではないから駄目。髪の毛一本俺の物っていうのかな?それくらい全て欲しいんだ、貴方が。側にいるだけじゃ、微笑んでくれるだけじゃもう足りない俺自身で感じたいんだ。貴方だったらきっと内側から俺を抱き締めてくれるよね、こんな俺を好きだって言ってくれたんだから。その足で歩みよりその腕で抱き締めてくれたんだから。



「ねぇ旦那、食べてもいい?」

「駄目だ」

「だって俺の願いなんでも聞いてくれるって言ったじゃない」

「叶えてやる、必ず。しかし今は許さぬ、今は」

「じゃあさ、いつならいい?」

「俺の願いが叶ったら、そうしたら全てお前にやる」



そっか……そう残念そうに言うと、貴方はいつものように抱き締めてくれて俺に言い聞かせるように愛していると囁くんだ。知ってる、知ってるよ。貴方は俺と生きるのが願いなんだよね?ずっと一緒に居たいんだよね?ごめんね、ごめんね……



「旦那……俺様なんか眠いや」

「あぁ、ゆっくり休め」



瞼を閉じれば体が突然重くなって凄く凄く眠くなった。体がまるで自分の物じゃないくらい重くて投げ出したくなった。



「おやすみ、佐助」



あぁ貴方の優しい声で眠れたのだから、どうか次目覚めた時も貴方の声を一番に聞きたい。






















墜落、ついらく、終に、楽に

(心地よい貴方の旋律。それが俺のカーテンコール)










END.



くらぁああい…orz
でもまぁアリだと。
幸村庇って負傷した佐助が、看病したけど結局じわじわ死んでしまった…よ、みたいな。



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -