題 | ナノ






テレビも付いていない静かな部屋に足を踏み入れた。
いつもならテレビならず電気も付いていて、電気代が勿体ないと叱るところだ。
それが今は真っ暗で、静かで、まるで誰もいないかのような家。
聞こえるのは自分の床を踏み締める音と、人の息遣い。
そっと覗いたソファには予想通りの可愛い恋人の姿。
辛うじて寝巻には着替えているが、きっとここでずっと自分の帰りを待っていたのだろう。
まるで猫のように小さく丸まって眠りについてしまった姿に胸が痛んだ。



「ただいま、ルフィ」



ちゃんとメールの言葉を守って次の日になってから家に入りました。
本当ならあんなメールもらったらダッシュで帰らなきゃならないのに、普通にへこんで何も出来なかった残念な兄はこうしてお前の言われた通りにしか動けない本当は情けない奴なんです。



「ごめん、ホント……情けないよな」



大事な恋人にこんな顔させて。
彼氏失格だよな、俺。
触れた頬はまだしっとりと濡れていて、渇いた自分の指先にじっとりと染み込んだ。











初めて泣き顔を見た

(ごめん、は聞き飽きたよな)




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