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新聞を読むのは毎朝の日課で、どんなに余裕がなくても何故か開いてしまうのは既に習慣だ。
しかし実際の所、新聞を開くのは読むことが目的ではない。
「いただきまーす!」
大きな声で手を合わせて朝食を摂る弟の向かいに座り、それを見て頬が緩む自分の顔を隠すため、だ。
大食らいな弟……や、もう恋人のために机の上一杯に料理が並ぶ。
それを旨そうに残さず食べ切る恋人を見るのが、一日の始まりで一日のささやかな幸せだ。
「焦らねえでゆっくり食え」
口の周りがだいぶ汚れたタイミングで拭ってやると、嬉しそうに目を細める。
なんだよニヤニヤして、と聞くと、弟は嬉しそうにこう答えた。
「だってさ、なんか恋人同士みたいだ!」
なんて当たり前な事を言うのだ。
というか今までずっとしてきてやったのに今更か、と思いながら。
弟が自らこの関係を意識してくれたことが嬉しくて、頬が自然と緩むのを感じたので手にしていた新聞を読むのを止めた。
初めて心から笑った
(どうしよう、嬉しくてたまらない)