題 | ナノ
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いつだって、自分はすぐ行動する人間だ。
だからといってはあれだけど、なんの前触れもなく突然所謂告白ってもんをしてみた。
勿論相手の反応は暫く硬直のち瞼をぱちぱちところにより口がはくはく。
なんて可愛らしい反応そして予想通りな行動ありがとうございました。
でも今欲しいのはそんな反応ではなくて、イエスかノーのどちらかだ。
柄にもなく真剣で、少し必死になる自分がいた。
無意識に握りしめた掌はじっとりと汗ばんでいる。
やがて落ち着いたのかゆっくりと視線を合わせてきた弟。
ごくりと思わず唾を飲み込んだのに、喉はカラカラに渇いていた。



「エース」



発せられた声に体が無意識に跳ねた。
あぁ、自分はいつからこんなに臆病になったのだろう。



「俺も、好き」



まっすぐこちらを見つめる瞳に吸い寄せられそうになる。
うっすら朱の混じる頬で笑みを作り、嬉しそうに恥ずかしそうに返してくれた。
硬く握りしめた拳がそっと温もりに包まれる。
柔らかな感触に目を向けると重なる様に合わさる掌。



「……好き」



もう一度ささやかに呟かれた言葉に、だらし無く頬が緩むのを感じた。
俯かれて幸だった。



「俺は、愛してる」



何度も言われてまるで自分の愛が負けてる気分になって。
負けず嫌いな自分は、お前に最上級の言葉を贈った。










初めて手を繋いだ

(緊張して、ぎこちない触れ合い)





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