ああ、あなたの鼓動が懐かしい
マルコとエース。
日差しの下でゴロゴロするってのは例えここが何処であろうと幸せなものである。
それがまた潮風の心地よい船の上なんて所だと幸せ過ぎて自然と笑みが溢れるだろう。
暖かい……このまま、一眠り。
コロリとそのまま転がると、目の前によく見知った顔があった。
てゆかこの距離近すぎないか?
危うくキスするところだった。
慌てて反対側に寝転がる。
これで少しは落ち着いて昼寝でも……
「ていうかお前近すぎだよぃ!もっと離れろ広いんだか」
「なーマルコ」
のんびりとした声に言葉を阻まれ、思わず怒る気も失せた。
そうだった、ウチの末っ子はこういう奴だった。
「……なんだよぃ」
「暖かくて、こう眠くなるよな」
「まぁな」
「いーい昼寝日和だよなぁ」
「だからこうやって寝ようと」
ぴとっ。
背中に感じた温もりと感触に思わずビクリと肩を震わした。
そして恐る恐る首だけ振り返ってみると、自分の背中にぴったりとくっつくエースの姿。
「何してるんだよぃ」
「んー?昼寝するときはさぁ……いつもルフィが隣で寝てたんだ」
「弟が恋しいのか?」
「そりゃあ大事な可愛い可愛い弟だからなぁー」
やっぱいないと無意識に探しちまうなあ、としみじみ言う姿に何だかんだで弟離れできない兄貴なんだなぁと思う。
だがしかし自分は弟でもなんでもない。
この詰められた距離を放そうと少し前に見じろぐと、エースは自然と離れていった。
「やっぱ、会いてえなぁー」
「じゃあ会いに行けばいいだろぃ」
「……そうだな!」
そう言って駆け出していくエースを目の端で追ってから、昼寝を続行させようともう一度目を閉じる。
ぽかぽか暖かくて風が心地よくてまさに昼寝日より。
さぁ睡魔よ早く来い……
「って思うとなかなか寝られないもんだよぃ」
結局ぱっちり覚めてしまった目で追ったのは、今にも海を駆け渡りそうなエースの姿。
ああ、あなたの鼓動が懐かしい
「エース、俺も連れてけ」
「あー?なんで」
「俺も、人肌が恋しいんだよぃ」
「ルフィは渡さん!」
「いいじゃねぇか減るもんじゃあるまいに」
「減るーっ!俺の可愛いルフィがオヤジ臭に犯されるっ!!」
「……そこまで言うか」
END
マルエーではないのだ。
マル→ル←エーなのだ。
と、言い張るのだ。