短 | ナノ
全てが終わり、巻き戻しが始まる


ネタばれ…?死ネタ…?程度のお話。
エールです。























目覚めたのは、後頭部に強い衝撃があったから。
思わず声も詰まるほどの痛みに両手で擦りながらしゃがみこんだ。
そしてふと感じる違和感。



「これから会うのはエース、お前の兄になる男じゃ」



声につられて面を上げると、そこには懐かしい祖父。
見上げたその顔は、見知ったものより少し若いかもしれない。
自分を引き摺りずるずると進む先には、これまたいつぞや見たかもしれない家が目に入る。
中から出てきた少々柄の悪い連中に首を傾げた。
あぁそうだ、この顔は知っている。



「ダダン!」



わぁっと駆け出し手前にいた大柄な女性に抱きつくと、彼女は自分の首根っこを摘まみ放り投げながら祖父に自分が誰が問うている。



「ダダン、俺だよルフィだ!」



そう言うと、知らないよなんだいこのガキは…と祖父に向かって騒いでいた。
それに祖父は孫だから宜しくと答えている。
それを自分はただ呆然と見上げていた。
はて、祖父はこんなにも大きかったろうか?
そして気づいた。
あぁ、自分が小さくなったのだ。
両手を見つめて思う。
この小さな手は、まだ何も背負っていない世界を知らない。

コツン

今度は額に当たった衝撃に顔を上げた。



「ルフィ」



その声にすぐさま顔を向ける。
まだ幼いが懐かしい声にドクリと心臓が脈打った。



「ルフィ……」



全く変わらない兄の優しい眼差しと声に駆け出していた。
思い切り、遠慮なんてなしに全力で飛び掛かる。
それでもしっかり抱き止めてくれる兄に、力一杯抱きついた。



「エース、エースエースっ!!」

「ルフィ、ルフィ……」



互いに強く抱き締めあった。
確認なんていらない、わかっている。
兄も兄のまま、ここにいるのだ。

その喜びに今は浸るだけ。













全てが終わり、巻き戻しが始まる
(また二人で最初から)















(あのな、エース。)
(なんだ?)
(俺もちゃんと、20歳で終わらせてきたよ。)
(……そうか。)
(だからやり直そう、もう一度。)
(あぁ、もう一度、やり直そう。)










END











あんまりじゃないか。
あれだけ頑張ったんだから。
二人とも幸せになってよ。


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -