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酸欠で死なせて


エー→ル











「好きだ」



三つ下の弟にそう告げたのは、思春期を迎えた頃だっただろうか。
男でしかも弟で、沢山悩んだ結果の告白だった。
それに対して弟は、一瞬ぽかんとしたがすぐに自分も好きだと返してくれた。



「お前の好きと違う好きだぞ」



その頃まだまだ子供で、伝える言葉が幼稚だったが精一杯を伝えた。
そしたら弟はにっこり笑ってわかっていると答えてくれたのだ。
それが嬉しくて、その時は高ぶった気持ちのまま弟を抱いた。
そんな勢いだけの自分に、弟は抵抗もせず答えてくれた。
それから弟との関係は、兄弟を越えた仲になった。
絆もより深まった。



「ルフィ、愛してる」



それから少しずつ成長した自分は、弟に伝える言葉を増やしていった。
ありったけを伝える言葉も覚えた。
それにも弟は答えてくれた。
好きだよ、大好きだと。
でもまだ一度も、愛してると返してはくれなかった。



「愛してる」

「うん。俺も好きだぞ」

「ルフィも」

「……ん」


何度か催促したが、口をつぐんで答えてはくれない。
そんな時は決まって弟から唇を寄せる。
まるでそれは謝罪のようだった。



「好きだ、エースの事大好きだ。でも一番はあげちまったんだ。だから、これで許して」



深く深く熱く熱く、口づけを交わしてそのままベッドへ横たわる。
その時は限って酷く抱いてしまう。
疲れて気を失うように眠る弟の体を抱きしめ、何度も噛み付いた唇に優しく触れるキスを落とす。
眠りに堕ちると決まって幸せそうな顔をする弟に、はらはらと目頭を伝い落ちる涙。
なあ、お前は今そこで誰に笑みを向けているんだ?















酸欠で死なせて

(愛を囁く俺を置いて、お前が××に会いに行くなら)












せめてどうか。
口遊む子守唄に気づいて。



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テーマ「人外ファンタジー」
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