一度消えると決めた日向クンに
迷いはなくて
消えないで、とは到底言えない
だから最後まで笑顔で
付き合ってあげる
「俺の事………好き、なのか?」
「うんっ!好きだよ」
「音無には内緒だ、
彼奴の悲しむ顔は見たくねぇからさ」
この内緒の意味は
私が日向クンを好きな事を、か
消える事を覚悟した事を、なのか
私には分からなかった
「大丈夫、2人だけの秘密ね?」
「蒼空、キスしてもいいか
我慢出来ねぇ、」
何だか話が噛み合ってない私達
迷いはなくても焦りは見える
「いいよ、日向クンの好きにして」
誰もいない教室
私と日向クンが重なり合う影だけが見える
少し荒いキスが、私の心傷めた
「………蒼空」
キスの合間に聞こえた声は
震えていて寂しそうな声だった
なぜ、
日向クンは消えなくちゃならないの?