Short Luv | ナノ


泣き顔にkiss

「逃げても無駄だっつの
あんたはここで王子によって
殺されんだよ」

無数に飛び交うナイフを
一つ一つ短剣で避けていく

ホンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアー
話だけは聞いていたが
ここまで強いなんて……

「貴方、切り裂き王子…?」

「ふーん、俺の事知ってるんだ
王子、有名人♪」

私はマファアでも
ヒットマンでもない

ただ力を持ってるだけで
沢山の人に襲われている
本当にただそれだけ

もう、嫌―………

ドサッ

考え事をしていたせいか隙をつかれ
これまで避けていたナイフで
足をやられた

その場に倒れ込み、後ずさりをすれば
すぐに縮まる距離

「しししっ、殺してやるよ」

なぜか涙が出る

「私は……普通に生きたかった

もっと仲間と笑ったり
力があるなら皆を守ったり

だけど、ずっと独りだった
寂しかった

だから、お願い
貴方だけは私を忘れないで」

やっとの思いで出た言葉

初対面なのになぜか安心して
こんな事を言ってしまう

「………」

私もここにいたんだと
私にも苦しみがあったんだと

ただ、誰かに分かって欲しくて

「殺すなら、生きた痛みを刻みつけて」

私も生きた証を忘れたくない
そう、思った

「王子に命令とかありえねーし」

その言葉を最後に目を閉ざす

もう、死ぬ



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