「俺がいるだろ……」
だから、泣くなよ
蒼空は今俺の腕の中で泣いている
あんなに長くて綺麗だった髪は
無造作に切られ
肩にもつかない程の長さになっていた
蒼空の髪は
ファルディオ隊長が
毎日のように触って
だから、何処の誰とも知らない奴が
蒼空に妬いた
髪を、切ったんだ
「ラマール……後もう少し、
もう少しだけ、こうさせて」
蒼空は震えるその腕で
俺をギュッと掴む
俺はまた何もしてやれなかった
彼奴(イサラ)だって……
「次は、絶対守ってやる
だから、泣くなよ」
自分への怒りか
次はないとう焦りか
口調が荒くなった
優しくしつやりたいのに、
俺は自分の無力さを知った