Short Luv | ナノ


言ってしまったら

ガチャン……

私が屋上にいると
ドアが開いたであろう音がする

振り返ってみると
話しかけてくれる日向

「蒼空が屋上なんて珍しくね?」

「んーちょっとね、考え事」

笑顔が引きつった

そんな私を見てか
日向は私の横に座る

だから
暑苦しいよ、なんて言って
フェンス越しに辺りを見渡した

「音無の事か?
告っちまえばいいぢゃん」

「出来ないよ……
あたし消えちゃうもん」

生前、愛される事を知らなかった私は
私を想ってくれてる音無に
私が大好きな音無に
告白なんて出来ない、消えちゃう

「まぁお前がそう想ってんなら仕方ねぇ
けど、後悔だけはするなよ」

「ありがとう……日向
私、もう行くね」

今度こそちゃんと笑って言う

階段を降りていくと
何かを探すように歩き回る音無がいた

「蒼空! 日向知らないか?」

「日向なら屋上だよっ
音無……
日向に変な事聞いちゃ駄目だかんね!」

私は最後の想いを託して走っていった



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