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最終試験の内容は一対一のトーナメント形式。組み合わせは、前回の面接が考慮されているみたいだ。

ヒソカでもイルミさんでもなくてよかった……。

クリア条件は1勝すること。相手に「まいった」と言わせられれば勝利らしいけど、相手を死なせると即失格という際どい条件。
 
ってことは、負ければトーナメントの上に登っていって、結局一人だけが不合格になるってことかぁ。

私の最初の相手は53番のポックル。弱くはなさそうだけど、能力を使うまでもなさそうだ。


「ポックル対なまえ!」

「なまえさん頑張ってー!!」

「なまえちゃん頑張れよー!!」

戦闘開始の位置に着くと、ゴンくんとレオリオの掛け声。

「応援がおおいみたいだけど、女だからって俺は手加減する気はないよ」

「本気でどーぞ?」

「――はじめ!!」


開始と同時に私はポックルとの距離を一気に詰める。
あ、やばい。昨日ヒソカと色々あった時に、油断してる隙にあいつにナイフとられたんだった……。

仕方なくポックルの後ろへ周りそのまま両腕を固定して床にねじ伏せる状態にする。

「っ、」

「このまま首の骨へし折ることもできるけど、どうする?」

「……まいった………」





その後もいくつかつまらない戦いが続いた。確かにハンター試験ってシャルが言ってた通りチョロいかも。
何か特別なことがあったかと言われれば特にないし、強いて言えばゴンくんがハンゾーって奴に殴られて気絶したことくらい。まあゴンくん自体は合格したみたいだけど。


「合格おめでとう」

そろそろおなじみとなってきた唐突に私に絡んでくるピエロ劇場。

「どうも」

「退屈してるみたいだけど、そろそろ面白いものが見られる気がしないかい?」

そう告げたヒソカの見つめる先を見ると、次の試合はギタラクル改めイルミさん、そしてキルアくんだ。

「え、あの二人が戦うんだ」

「キルアの方はまだあれがイルミだって気付いていないようだけどねぇ」

私たちがそんなことを話していると、イルミさんが顔から針を外し、いつものイルミさんの顔に戻る。

「兄……貴…!!」

「や」

キルアくんは困惑している表情。

「そりゃ変な顔の人がお兄ちゃんだったなんて驚くよね」

「……キミって意外と変な感性なところあるよネ」

私の中ではイルミさんキルアくんを心配してハンター試験を受けていて、意外と弟思いなのかと思っていたら微妙にそうではなくて。
むしろ弟愛歪みすぎだろ。

いや、イルミさんに普通の愛情やらなんやらを求めた私が悪かったわ。

「お前はハンターに向かないよ、お前の天職は殺し屋なんだから」

 「ゴンと……、友達になりたい。もう人殺なんてうんざりだ。普通にゴンと友達になって、普通に遊びたい」
 
キルアくんはいたって真面目な顔だ。
確かにまだ欠点とかは多いけど、もったいないなあ。素質あると思うのに。


その後修羅場感は続き、キルアくんが負けを宣言した。





「では解散!!」

ネテロ会長は今回の試験合格者の8名にハンターとしての説明を一通りすると、解散を宣言した。

結局キルアくんはポドロという受験者を殺してしまって不合格。私はイルミさんはやっぱり怖いと再確認した。

「なまえさん!俺たちはキルアを探しにいくよ。なまえさんは?」

さあ早くフェイタンのところへ行かなきゃと思っていると、ゴンくんが話しかけてくれた。

「そっか、キルアくんに会えるといいね。私も会いたい人がいるから会いに行こうと思ってるよ」

mokuji