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面接が終わり部屋に戻ろうとふらふら廊下を歩いていると、またもやあの公衆電話てきなアレを発見。
……まだシャルとフェイ一緒にいるかな?お恥ずかしながら、私はフェイの番号を覚えてない。だって連絡しても返ってこないこと多いし、電話だって仕事関連の話以外出てくれた試しがない。シャルとは結構暇な時連絡取り合ったりするけど。
「もしもしー?シャル?」
『――やっぱなまえだったんだ、まだフェイタンここにいるから今かわるね』
「さっすが」
『俺のことももっと構ってくれていいんだけど?』
「それはまた今度ね」
ケチー、というシャルナークの声は既に聞こえづらくなっていて、電話越しには未だにご機嫌ななめボイスのマイダーリン。
『いつ帰てくるか』
「もうすぐ最終試験だから、それが終わったらかなー。帰ったらすぐフェイに会いにいくね」
『は?そんなの当たり前よ。逆にワタシ以外に会う必要ある人いないね』
あー、本当、フェイちゃんったら、
「私のこと大好きかよ〜!!」
『……チッ』
いやいやそこで舌打ちか〜い。まあそんなものも許せるくらいのテンションではある。久々、ってほど久々でもないけど、やっぱり数日ぶりのフェイタンなのは変わりない。
「そっちはどう?シャルと仕事してんでしょ、もう終わったの?まだかかるなら私手伝うよ〜報酬はフェイからの愛でいいか、――」
ここで私の特性をご紹介しましょう。一つ、仕事モードとか以外のプレイベートでフェイタンと話していると、かなり油断してしまう。
そりゃあ、あからさまに殺意出されたり視界に入る範囲で何かされたら気にするけど、ある程度の使い手、それも絶の精度が気持ち悪いくらいの高さの奴が後ろから来ていたって、気付くわけがない。
『――、なまえ?』
手から離れて宙ぶらりんに受話器からは、フェイタンのイライラと少しの心配が篭った声が聞こえた。
*
「おい、聞いてるか?さっさと返事するね」
俺の前でお惚気はやめてくれー、なんて思っていたら、いつの間にかフェイタンが電話に一人で話しかけている状態ができていた。
「何?どうしたの?」
「急に返事しなくなたよ、あいつ」
切れたか音小さくなったかじゃない?と思ってスピーカーにしてみるが、確かに何も聞こえなくなった。
「まあ、なまえのことだから心配することはないんじゃない?」
「無理ね、あいつ仕事じゃない時ワタシと話してるとスキだらけよ」
「うわぁ……」
そうだった。旅団での活動とか仕事では、もちろんなまえはしっかりと動いてくれる。しかし普段フェイタンと会話している時のなまえは、いつものなまえとはかけ離れている性格、そして油断している状態になる。
『っちょ、』
「なまえか?!」
沈黙だったスピーカーからなまえの声が聞こえる。受話器は既になまえの手には握られていなく、こちらの声は聞こえないみたいだ。
『本当なに!!気持ち悪い!!あっち行けクソヒソカ!!!』
………ん?
俺が思ったことは、フェイタンも思ったようで。
「ハ?今あいつヒソカて言たか?何でヒソカといるね」
「知らないよ、それよりなまえは平気なのかな……」
団員同士ということがあるからそんなに心配する事態にはならないと信じたい。しかしなまえの話し声からするに、相手はヒソカだ。何が起こるかわからない。
『君って仲間と話している時はいつもと違ってスキだらけなんだネ』
『うるさい!!いいから手放せきもい!!』
『おっと、熱いじゃないか。それにしても火力っていうのかい?すごいねぇ……』
そこまでで会話は途切れた。というかフェイタンがぶちぎった。ボタン壊してないよね?
「ちょ、フェイどこいくんだよ!」
「なまえのとこに決まてるね」
「どこにいるかわかんないだろ?!」
「とりあえずこのイライラ抑えにいくよ、シャルには団員だから何もできないね……!!」
なまえ、君が今どういう状況なのかはわかんないけど、こっちでは罪のない(と思われる)人が、いや、人々が、犠牲になる予定です。
mokuji