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あのあと結局試験を合格できたのは9人。そして私たちはまた飛行船に乗っている。
最終試験の前に会長自らが面談を行うということで、ただいま私の目の前にはどこからその強さが湧き出ているのか底知れないおじいちゃんが座っている。
「きみ、なぜハンターになりたいのかな?」
「…………」
なぜ、か。そんなの答えがあるわけない。別にハンターになりたくてこの試験を受けているわけじゃないし、そもそも受けなくていいなら受けたくなかった。
「……正直に言わなきゃだめ、ですか?」
「面白いことを言うのう」
会長はほっほっほと絵本に出てくるおじいさんみたいな笑い方をして、好きにせい、と言ってくれた。
「便利そうだからです」
「そうか」
あ、絶対嘘だってバレた。適当に言ってるってバレた。
果たしてこれは合否に関わるのだろうか。でももう最終試験だからここで落ちても見張りの役目は充分だと思う。
「じゃあ、次。おぬし以外の8人の中で一番注目しているのは?」
「キルアくん」
「ほっ、次は即答か」
そりゃあキルアくんに注目するためにこのハンター試験を受けているんだからこう答えるに決まっている。
……ちょっとニュアンスが違うかもしれないけど。
「では、最後。8人の中で今、一番戦いたくないのは?」
「……ヒソカ」
この質問に関しては、正直イルミさんとも迷った。やだよあんな人と戦うの。そういう風にならないようにこの試験だってうけることにしたんだし。
ただそのイルミさんよりも戦いたくないのがあのピエロで。
一つはさっきと同じ理由で、あんな奴と戦うのは避けたい。
もう一つは、旅団であるからにはマジギレご法度だから。ヒソカと戦うことになったら、仮に向こうが本気じゃなくても私は殺すつもりで戦っちゃうと思う。というか戦う。
「ほう、お主と44番の間には何か色々ありそうじゃのう」
「何もありません名前も知りません」
ヒソカと知り合いだと思われることが、ここ最近で一番いやなことだと発覚した。
mokuji