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「やあ、調子はどうだい?」
「たった今最悪になったところ」
本当に気持ち悪い。いつの間にか現れるピエロ。私を見つけたのが偶然なのか故意なのか、どっちでもいいから用件がないなら今すぐ消えて欲しい。物理的に。
「そんなこと言わないでくれよ、キミに聞きたいことがあるんだ」
「じゃあさっさと言ってよ」
まあ答えるかどうかは別だけど。きっとこいつのことだからろくなこと聞いてこないんだろう。
「キミ、イルミに頼まれて試験を受けているんだろう?」
「…………」
こいつ、何でそれを知っているんだ。イルミさんが言った?いや、彼に限って私の名前をホイホイ教えるわけないはず。
仮に教えてたとしたら今後一切イルミさんには頼らないし、向こうに仕事頼まれた時も絶対助けない。いっそのこと嫌がらせしてやろうか。
ああ面倒くさい。私たちが知り合いだと知られると、じゃあどうして知り合いなのかを問われることになる。
そんなのもちろん私の仕事柄って答えになるけど、できればこいつに知られたくない。
「図星、だねぇ」
「……それ、イルミさんに言われたの?」
「そんなわけないだろう?ボクの推理、だよ」
数時間前―――
「じゃ俺、期日まで寝るから」
「……それでキミの目的は果たせるのか心配だねぇ」
「んーまあキルの見張りは一人手伝ってもらってる奴いるから、そいつ結構強いし平気でしょ」
「へぇ、ちなみに誰?」
「言ったら面倒なことになる」
「クックック、名前を明かしたらそのこに殺されるとでも思っているのかい?」
「そういうわけじゃないけど、言ったらキレてきそうだし。あいつとはできれば戦いたくない。じゃ、頑張ってね」
「――ってことがあったんだよ」
「……あっそう」
やっぱりイルミさんは私の名前を明かしたりしなかった。そこはさすが(仕事面で)信頼をしている人物といえる。
「この試験を受けてる中で、イルミにあんなこと言わせる実力があるのはボク以外に君しかいないだろう?」
「その推理は正解。でもそれ以上聞いてきたらあんたのお気に入り殺すから」
ヒソカを殺すわけにはいかない。一応旅団の仲間だから。
だったら、この変態のお気に入りを殺してやろうというのが私の作戦だ。
そもそもこいつと一対一でやりあって確実に勝てるとは思えない。かなりハイリスク。負けるとも言い切れないけど勝てるとも言い切れない。
「残酷だねぇ、無関係な奴を殺すっていうのかい?」
「どっかの快楽殺人鬼とは違うけどね」
確かに趣味とかで人を殺したり痛めつけたりする奴らはいるけど、ヒソカとかヒソカとか、あとフェイとか、ヒソカとかフェイとか、フェイとか。
私にはそんな趣味はこれっぽちもない。一緒にしないでほしい。
「安心してくれよ、これ以上聞く気はないから」
じゃあボクはこれから本気出してくるね、ヒソカはそう告げて森の中に姿を消していった。
mokuji