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「おやおや、君も暇なのかい?」

謎の公衆電話もどきでシャルとフェイと話したあとも私は適当に歩き回っていた。ちなみにあの電話は無料だったらしい。

そこで誰かに話しかけられた気がするけど多分幻聴だから私は無視を決めることにした。

「相変わらず僕のこと無視するよねぇ」

よほどこのピエロは私に構ってほしいのだろうか。背後からものすごい殺気とトランプが飛んでくる。デジャビュ。

さすがの私でもこんなことされて黙っているわけにはいかない。

「ちょっと、なんなの?旅団同士はそういうのNGだってば」

「一発君と殺ってみたいだけだよ」

そう言うとヒソカはすぐに戦闘態勢に入ったのか、その空気につられて私にも緊張感が走る。
何こいつ、本気でここで私のこと殺そうとしてんの?は?馬鹿なの?

「クックック、冗談、そんな怖い顔してたら可愛い顔が台無しだよ」

前言撤回。さあ私を本気で殺しにこい。そしたら私は正当防衛としてこいつを殺す権利が得られる。ヘイ、カモン。

「こうでもしないとなまえが相手してくれないじゃないか、ただ聞きたいことがあるだけさ。別に本気で殺そうとしてるわけでもないし」

先ほど私が避けたトランプは見事壁に突き刺さっている。本気で殺そうとしてなかったら普通紙は壁に刺さらないよね?ね?

「相手するから今後関わってこないで、聞きたいことって何」

面倒だからさっさと用を済まさせておさらばしたい。私の嫌いな奴ランキング上位、というかむしろ栄光ある一位を与えてやりたい。

「何でハンター試験受けてるのかな、って」

トランプを慣れた手つきでパラパラと扱いながら話すヒソカはどこか楽しそうな表情だ。私にはこの状況の何が楽しいのかさっぱりわからない。

「……仕事の一環」

先ほどフェイにも言ったように、別に間違ったことは言っていない。私が何でも屋だとか、仕事手伝ってもらったイルミさんに頼まれてとか、余計なことは一切言うつもりはない。

「クックック、随分変わった仕事をしているみたいだねぇ」

あなたは随分変わった身なりですよねとでも言ってやりたいところだ。だが、いい加減こいつと話しているとイライラが募ってくるので、退屈でもいいから部屋に戻ろう。そうしよう。キルアくんの監視は三次試験が始まってから再開すればいい。

「そういうことだから、じゃ」

ハンター試験をヒソカも受けてるなんて、ついでにやたらと私に絡んでくるなんて、フェイが知ったら本気でキレてきそうだ。
何であいつと私が同じ空間にいるんだ、って。何かの仕事でヒソカと会ったことを伝えた時、すごい血相でそんなことを言われたのを覚えている。

でもこれだけは聞いてほしい。私もヒソカがハンター試験を受けるって知ってたら、いくらイルミさんの頼みでも断っていた自信はある。

mokuji