触れてはいけなかった
(この温もりに恋に落ちるなんて、想いもしなかったんだ)
頬に触れた冷たさに安堵
(嗚呼、今日も君は生き長らえながら死んでいる)
愛しの笑みの口角の先
(ぎこちなさと嫌悪感が滲んでる)
視線の甘味と生クリームの苦味が絡み付いて止まない
(何よりも高価なデザート)
背景は赤、君の瞳は黒
(夕日にも染まらない、気高い瞳に乾杯)
ゆるり、震える空気に涙
(嗚呼、また、貴方は)
白い壁と白い吐息
(悴んだ赤い指先にキスを)
唇に残った甘味と鼻につくメロンソーダ
(僕の冬空は、いつだってメロンソーダの香り)
爪先と鼻先と目先と
(どこへ向かうか)
涙のわけは呑み込んで
(知られてはいけない)
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