赤い頬と白い雪2012/11/15かたたんっかたたん
寒さも気にせず窓を開ければ
凍てついた空気が幼子の頬を撫でる
温まっていた体は急速に冷えるが
比例して心は踊り出す
かたたんっかたたんっ
通り過ぎる風景
けれど途切れることのない銀世界
闇夜に浮かぶ星々が銀世界を照らす
幼子は頬も鼻も耳も
林檎のように染めながら
落ちんばかりの勢いで身を乗り出す
母親と父親は
まだ疲れで眠っている
幼子は星の様に目をきらきらさせ
銀世界に見入る
かたたんっかたたんっ
列車はまだまだ止まらない
幼子は銀世界に魅入ったまま
一体何を想うだろう
手触りか、味か、薫りか、
それとも銀の向こうの世界だろうか
幼子と夢を乗せ
列車は止まらずに走り続ける
お題:雪景色
春柚
次のお題→「まぶた」
prev | next
←