毒のある風景
2012/08/28

気の抜けたソーダみたいに無気力な海が、僕の爪先を凍らせる

この白い指に連れ去られてしまえば、何もかも等しく終わるのかな

澱んで濁った夜の海、きっと僕もそんな感じ

覗き込んだ水面の反対側から、ヒトの様な、あるいはケモノのような、あるいはサカナのようなものが、覗き返してくる

きっとそのどれもを海が呑み込んで、消化できずにいるのだろう

同族嫌悪にも似た忌々しさを、振り払いたくて、足元の二枚貝の片割れを、切る様に海に投げ付けた

浮かぶ幻影はポロポロと崩れるようにその姿を散らした

雲の切れ間から浮かぶ月が、僕以外のものを皮肉たっぷりに照らした。



お題:かいがら


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