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  いい夫婦









「十代目!!今日は何の日だかご存知ですか!?」

「え?今日?えっとー…」



えー…今日何か特別な日だったっけ…獄寺君も俺も誕生日は違うし、俺たちの記念日でもない……



「ご、ごめん…今日何の日だったっけ?」



どうしよう…大切な日だったりしたら…



「はい!!今日は"いい夫婦の日"だそうです!!」

「…………は?」

「ですから、11月22日で"いいふうふ"なんだそうですよ!!」

「あぁー…なるほど…」



なんだ…そういう事だったんだ…でもなんでいきなり?



「それで?急にどうしたの??」

「はい!!俺、それを聞いて真っ先に十代目のお父様とお母様を思い出しました!!」

「え?」



俺の父さんと母さんを?



「俺、夫婦だとか家族だとか、イマイチよくわかんねぇっすけど、それでも十代目のお父様とお母様はやっぱり素晴らしいと思うんです。お父様もお母様もお互いを大切に思っていらっしゃいますし、何より、あのお父様とお母様だからこそ、今の十代目があるんです!!」

「獄寺君……」

「まさにこの日は十代目のお父様とお母様の為の日っすね!!!」



そうやって笑う獄寺君を見て、俺はなんかすごく悲しくなった。

俺の父さんと母さんをそうやって言ってくれて、すごく嬉しいんだけど……やっぱり夫婦って言葉を聞いて、一番最初に思い出すのは自分の両親なんじゃないかな…。

そうなった時、獄寺君はどう思ったのかな……



「獄寺君」

「はい?」

「いい夫婦って憧れるよね」

「…そうっすね」

「なろうね」

「え?」

「俺が必ず、獄寺君を"いい夫婦"にしてみせるから」



























「ね、隼人」

「はい、何でしょうか?」

「今日は何の日でしょう?」



あれから十年。
俺の想いと俺たちの関係は、日に日に強く深くなって今を一緒に生きている。



「今日は……!十代目のお父様とお母様の日ですね」

「はは、そうだね」



でも今日からは違う。



「隼人、俺が十年前に言った事、覚えてる??」



俺も十年前と比べて少しは成長した。

言葉だけでなくて、実行出来る力も持てる様になった。


だから……



「今までは俺の父さんと母さんの日だったかもしれないけど、」



俺はもう一度約束するよ。



「今日からは俺と隼人の日になるんだよ」

「……えっ………」

「結婚しよう、隼人。俺が必ず、君を幸せな、いい夫婦にしてみせるから」



もうあんな悲しい笑顔をさせない様に。



「二人で一緒に"いい夫婦"になろ?」



もう憧れなんて抱かなくていい様に。



「ーーっ………はい…はいっ!!!」



誰もが認める様な、大切な俺たちの日にしようね。






















「どうぞ、十代目のお好きな甘い珈琲です」

「ありがとう隼人!!……うんっ!やっぱり隼人が煎れてくれたコーヒーが一番美味しいや!」

「そんな……ありがとうございます」

「ふふっ」




「なんだか…ボンゴレと獄寺氏、何時にも増してらぶらぶじゃありませんか?」

「あぁ、なんか夫婦になったらしいのな!!」

「ぶっっ!!! ふ、夫婦!!??」

「おお!!そんな事言っておったな!!確か沢田からプロポーズしたと聞いたのだが、極限に男だな!!!」

「クフフ、男らしいも何も、彼達はまさに"男"なんですよ。それが夫婦などと…」

「興味無いね」

「でも、何か…」

「ん?」

「今更、な気がするんですが……」

「「「「 確かに 」」」」










end 

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