Buon compleanno |
10月14日 俺が最も尊敬し敬愛してやまない十代目がお生まれになった日。 十代目が俺に告白をして下さり、お付き合いをさせて頂く様になったのは約二ヶ月前。 それだけでもこの上なく恐れ多いと言うのに、先月は俺の誕生日なんかを祝って下さった。 それだけじゃない。 十代目は俺の誕生日を自分の事の様に喜んで下さった。 生まれてきてくれてありがとう、なんて言って下さった。 初めて、自分が生まれた日に意味を持った気がしたんだ。 だから今回の十代目のお誕生日、俺が頂いた以上のものを十代目にお返ししたい。 俺だって、十代目が生まれて下さった事に心から感謝しているんだ。 幸い、今年も13日にリボーンさんのお誕生日と一緒に十代目のお誕生日もお祝いしたから、邪魔が入る事は無い。 それに明日は土曜日で休みだ。 先月は無理だったが、今回こそは俺の家にご招待して十代目のお誕生日を祝わせて頂く!! だが、それだけじゃ駄目なんだ。 リボーンさんが仰るには、十代目は恋人としての何かをご所望だとか。 こ…恋人として……。 それは…あれだよな…十代目が俺の誕生日にして下さった、アレ…の事だよな…。 たたた確かに、恋人同士なら当たり前の行為だし、して頂いた時は……あぁあ!!無理だっ!!! 思い出しただけでも穴があるなら入りてぇ位なのに!! それを俺から、なんて……。 いやでも、これは十代目が望んでる事なんだ!!俺が少し我慢すれば十代目は喜んで下さる!! 十代目っ!!俺、頑張りますっ!!! 「……獄寺君?」 「ぅあぁは、はいっ!!」 「…何でそんなに、遠いの?」 「うっ…い、いえ、そんな事…」 「あるよね??」 「…………」 や、やべぇ……。 さっきまでは順調だったんだ。 昼間は十代目の行きたい所にご一緒させて頂いて、ついさっき情けねぇが市販のケーキと夕飯を食べ終わった。 後はプレゼントを渡して、俺からき、キスをするだけだっつぅのに…。 意識し過ぎてどうにもうまくいかねぇ!! 「…もしかして獄寺君、無理してる?」 「…え?」 何をだろうか…。 た、確かに俺からキスするのは勇気がいるが、十代目は知らない筈。 「別に、無理して俺の誕生日祝わなくていいんだよ?」 「…えっ……」 ち、ちがう!! そんな事ある筈がありません!! 「なんかごめんね、俺一人で舞い上がっちゃって。獄寺君が無理してるの、気付けなかっ…」 「違いますっ!!!!」 何やってんだ俺はっ!! 十代目に喜んで頂く所か、そんな悲しい顔までさせやがって!! 「無理なんて、そんな筈ありません!!俺だって十代目のお誕生日を祝いたいんです!!貴方が生まれてきて下さった事、心から感謝してるんですっ!!!」 「獄寺君…」 「ただ…少し緊張しちまって…」 「緊張??」 格好わりぃけど、なりふり構ってる場合じゃねぇ。 十代目に誤解されるよりマシだ。 「その…リボーンさんから伺いました。十代目が望んでいらっしゃる事」 「はぁ!?リボーン!?俺が望んでるって何っ!?」 「十代目は恋人として、俺から何かする事をお望みなんすよね?」 「……え、ちょ」 「そ、それで俺考えたんすけど!恋人として俺が十代目にさせて頂く事が出来るのは、以前十代目がして下さった、き…キス位しか思い浮かばなくて」 「………」 「い、嫌な訳じゃないんです!!!た…ただちょっとばかり緊張しちまって、その…」 「……はぁ、頭痛いよ…」 「っ!?大丈夫ですか十代目!!」 そ、そんな…テメェの事で一杯一杯で十代目の体調の変化に気付けなかった… 「違う、違うから!頭は大丈夫だから!」 「十代目ぇ〜…」 「それより獄寺君。よく聞いて!」 そう言って、両頬を十代目の逞しい手に挟まれる。 「獄寺君、俺はね、君が居てくれるだけで、俺の誕生日を一緒に祝ってくれるだけで、それだけで嬉しいんだ」 「じゅうだいめ…」 「大好きな人と、自分の生まれた日を一緒に祝える。それってすごく幸せな事だよ。獄寺君は違った?」 ……そうだ。 俺の為にと用意してくれたプレゼントやパーティーも勿論嬉しかった。 でもそうじゃねぇ。 一緒になって喜んでくれる、祝ってくれる、傍にいてくれる事が何より嬉しかった。 首を振る俺に十代目は優しく微笑みかけて下さる。 「うん、俺もおんなじ。獄寺君がここにいてくれるだけで嬉しい。それに…」 「……?っっ!?」 「キスは俺からすればいいし、ね?」 唇を離し、そう笑う十代目は壮絶に格好良かった。 けど、十代目はあぁ仰ったが、今回ばかりは腑に落ちない。 だって貴方の誕生日なのに俺ばっかり頂いてる気がするんです。 それに、緊張するだけで、俺だって十代目に触れたい。 「十代目」 「ん?な…っっっ!!??」 神だなんて、あんな不確かなものに感謝しちまう程、貴方の事が好きなんですから。 「Buon compleanno、綱吉さん」 次の日。 「リボーンっっ♪」 「うぜぇ、殺すぞ」 「えっ!?いきなり!?まだ何も言ってないし!!」 「ちっ、何だよ」 「えへへ、リボーンのお陰で昨日獄寺君からキ…」 「やっぱり死んで来い」 |
end |