short | ナノ

  君だから*









ま、まずい…
潤んだ瞳。上気した肌。
そして獄寺君を押し倒してるこの態勢。



静まり返った部屋で、唯一俺の心臓の音だけが響く。






















今日は獄寺君と付き合って三ヶ月。


男同士だし、いちいち一ヶ月毎に記念日を祝ったりはしないけど、それでもやっぱり大切な日には変わりなくて、今日は獄寺君の家にお泊まりの約束をしてたんだ。



"お泊まり"って言っても、その、なんていうか、別にえっちな事をする訳じゃない。


まぁ俺も男だし、興味が無いって言ったら嘘になるんだけど。
知識もそれなりにあるし…。


でもまだ中学生だし、何より獄寺君が極度の照れ屋で、キスするのにも二ヶ月掛かった位なんだ。

今でもガチガチだし…。


それに獄寺君といれるだけで幸せだから、そんなに焦らなくてもいいかなって思ってたりもする。


だけど…















今日もいつも泊まる時と同じ様に一緒に下校がてら食材を買いに行って、獄寺君家でご飯を作って食べた。

今は二人でソファに座ってテレビを観てる。


なんとなく観てたテレビでは痩せるツボだとか、血液の流れをよくするツボだとかの特集をやっている。


そしたら何を思ったのか、急に獄寺君が俺の首に触れてきた。



「ゎひゃっ!!??」

「っっ!?」



いきなりの事で驚いたのと、くすぐったかったのとで変な声がでた。


俺の奇声に一瞬獄寺君も驚いた顔をしたけど、すぐに笑いを堪え始める。



「…なに笑ってんのさ?」

「す、すみませっ…テレビの奴らが首に疲れがとれるツボがあるって言ってたもんで…ふ…十代目、首が弱いんすね…くくっ…」



少し前の獄寺君だったら、俺がひと睨みしたらすぐに慌てて謝り倒して土下座までしてた。


だけど恋人になって付き合っていくうちに、むやみやたらに謝る様な事は無くなった。


獄寺君が本当の意味で俺に心を許してくれてる様ですごく嬉しい。


けど今は悔しいやら恥ずかしいやらでちょっと複雑な気分だ。



「なんか…獄寺君だけ俺の弱いとこ知るなんて、ずるくない?」

「え?」

「獄寺君の弱いとこも見つけてやる!!」

「えぇっ!?ちょっ十代目ぇ〜!?」



やっぱり一般的に弱いところって言ったら脇腹でしょ!!

相手が俺だからか控えめな抵抗しかしない獄寺君に容赦なく攻める。



「ひっ!!く、くすぐったいっす十代目ぇ!!」

「え〜??なにぃ〜?」

「ははっひっほ、ほんともう!ふっや、めて下さいっっ」

「聞こえないよ〜?ってぅわっ!!」



余程くすぐったいのか、目に涙を浮かべて無防備に笑ってる獄寺君に気を良くした俺は、調子に乗ってふざけていたらバランスを崩してしまった。












そして冒頭に至る訳で…。





ほんと、さっきまで調子に乗ってた自分に後悔しか残らない。


くすぐってたせいで顔はほんのり赤く色付いてるし、呼吸は荒いし…なんていうか、色々と連想させてしまう光景が目の毒っていうか、下半身の毒っていうか…自業自得なんだけど!


ど、どうしよう…
今すぐ退ければ何事も無かったかの様に出来るけど、頭が真っ白で身体が動かない。

まるで全身が心臓になってしまったかの様に、早く脈打つ心音しか耳に届かない。


内心一人でパニックを起こしている俺を伺う様に、獄寺君が下から声をかけてきた。



「じゅ、だいめ?」



その状態で下から上目遣いで見られたその瞬間俺の中の何かが音をたてた。



「じゅっ!!んっ!ふ…」



気付いたら獄寺君の唇を貪っていた。



「んっじゅう…っふぁ…」



獄寺君が口を開いたのを見計らって、すかさず自分の舌を侵入させる。

獄寺君の口内あったかい…気持ちいい。



「はっごくでらくん…ん」

「ふ…はっ…」



タガが外れたかの様に夢中になって獄寺君の唇を味わっていると、息がうまく出来なくて苦しいのかくぐもった声が聞こえてくる。



「じゅ、じゅうらい…め…ふ」



呂律の回らない声。
潤んでとろんとしている目。
どちらのかわからない唾液で濡れている唇。


獄寺君の全てが俺の熱を上げる。

ごめん、獄寺君。
止められそうにない。



そのまま唇を落として獄寺君の首筋に舌を這わせる。

その瞬間びくっと獄寺君の肩が跳ねたけど、今はそれさえも俺を煽るスパイスでしかない。


舌をそのままに服の裾から手を潜り込ませる。



「ぁっじゅ、じゅうだいめ…」

「ん、獄寺君の肌、すべすべ…。」


少しお腹や脇辺りの肌を堪能した後、そのまま上へ滑らせていき、獄寺君の突起物に触れた。



「んぁっ…んっ」



口を塞いで声を押し殺してるのが勿体無いと思ってふと顔の方に目を向けると、獄寺君が涙を流して泣いていた。



「っっ!!ご、ごめんっ!!俺っ…」



な、何やってるんだよ俺…こんな一方的に。最低じゃないか…。


漸く正気に戻り事の重大さに気付いた俺は急いで獄寺君から退いた。



「じゅう…だいめ…」

「ご、ごめん、謝って済む問題じゃないけど本当にごめん!!」



獄寺君の顔がまともに見れない。
獄寺君を泣かしてしまった罪悪感と、嫌われるかもしれない恐怖感で俺の頭の中はぐちゃぐちゃだ。



「…れ……なかっ…す」

「……え?」



そんな中、獄寺君が微かに呟いたのが聞こえて恐る恐る顔を伺う。

すると俺の予想に反して真っ赤な顔で目を逸らしている獄寺君がいた。


そんな獄寺君にこんな状況だけど不覚にも胸がときめく。



「獄…寺君?」

「っ………」



先程の言葉をもう一度促そうと声をかけると、より一層顔を真っ赤にして口をパクパク動かしている。

可愛い…


暫くそんな獄寺君を眺めながら言葉を待っていると、赤い色はそのままに何かを決心した様な顔で俺に向き直った。



「お、俺!はず…か、しかっただけでっ…ぜ…全然嫌じゃ…なか……た…す…」

「…ごくでらくん…」



最後は消え入りそうな程小さな声だったけど、獄寺君の想いは確かに伝わってきて胸がかぁっと熱くなる。


見ているだけじゃ物足りなくて、獄寺君に触れたくて、腕を伸ばして身体を強く抱き締める。



「獄寺君っ…すき…大好きだよ」

「…っおれも…俺も、だい…すき、です」



俺の気持ちに応える様に腕を回してくれる獄寺君が愛しくて、触れるだけのキスを落とす。



「ん…あの…じゅうだい、め…」

「ん?何獄寺君?」



何かを言いたげな獄寺君。



「どうしたの?」

「……あの…しない、んすか?」

「っっっっっ!!!???」



知らないよ、獄寺君。
もう俺のせいじゃないからね?




























「ふっあ…はぁっ……」

「ん…ごくでらくん…」

「あぁっ…」



今獄寺君の部屋は俺達の荒い息遣いと、粘着質な水音で満たされている。


少しでも獄寺君の負担を軽くしたくて、時間をかけてゆっくり後孔を指で馴らしていく。



「ごくでらくんのなか…あつい」

「んんっ…じゅ…だい、め…」



小刻みに震えながら俺の指を感じている獄寺君が壮絶に色っぽくて、俺のが痛い位に張り詰める。


そろそろ…限界…


そんな俺に気付いたのか、獄寺君が俺の頬に手を添えて、



「じゅうだいめ…ん…きて、ください」

「っ…ごく…でらくん…」



苦しいだろうにつらいだろうに…それなのに一生懸命俺を受け入れようとしてくれてる獄寺君が、涙が出る位大好きでどうしようもなくなる。


指を抜き自身を獄寺君のそこにあてがう。



「ん…隼人…大好きだよ…」

「っっっ!?ぁっあぁぁっ!!」



唇にキスを落としながらゆっくり腰を進めて獄寺君の中に侵入していく。


やっぱりキツいけど、獄寺君の中は熱くてヌルヌルしてて気持ちいい。



「あっぁっ…んん…はっ…」

「はっ…ん、ごくでらくん…全部、入ったよ」



程なくして俺のが獄寺君に全て包み込まれる。


俺達…一つになったんだ…。


その事実が堪らなく嬉しくて幸せで、獄寺君をぎゅっと抱き締めた。



「獄寺君、平気?苦しくない?」

「あ…だい…じょぶ、です…」

「痛かったり苦しかったり、何かあったら言ってね?」

「……じゅうだいめ…」

「ん?」

「もう…名前で…呼んでくれないん、すか?」

「〜〜〜っ!!??」



何言ってんの!?
折角我慢してたのに!!
そんな可愛い事言われたら手加減出来ないよ!!


獄寺君の言葉に全身全霊を煽られた俺はゆっくり自身を抜き差しする。



「あぁっは…んっんっ…」

「はぁっ…隼人…隼人…」

「ふぁっじゅ、だいめ…じゅうだいめっ…」



完全に自制が効かなくなった俺は容赦なく獄寺君に腰を打ち付ける。



「すき…隼人…だいすき…」

「んんっ…おれもっあ…だいすき…れす…」



唇を貪り、涙や涎、汗などでぐちゃぐちゃになりながらお互いに求め続け、二人同時に果てた。
































「ねぇ〜こっち向いてよ〜」

「…む、無理です…」



行為が終わり素面に戻るにつれて羞恥も戻ってきたのか、獄寺君が布団にくるまったまま一行にこちらを向いてくれない。



「嫌…だった?」

「そんな事絶対ないっす!!…ただ…ちょっと恥ずい…だけっす」



さっきまで恥ずかしいなんて言葉じゃ表せない程の事をしてたのに…。
でもそんな獄寺君がやっぱり可愛い。


きっとこれから先も、俺は獄寺君以外を好きになる事はないだろうな。

未来なんて不確定だけど、それだけははっきりと言える。

こんなに一緒にいて幸せで、満たされて、嬉しくて、愛しいのは君だからなんだ。



「可愛かったよ、隼人」

「っっっっっっ!!!!????じゅっ」



俺に抗議しようと真っ赤な顔で振り向いた獄寺君に、俺の想い全てを込めてキスを落とした。








end 

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