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  活力剤








あーもうっ疲れた疲れた!!



リボーンの奴に『寝る暇があったら仕事しろ』とか言われて書類整理やら同盟ファミリーとの会合やら予定を詰めつめに入れられて、言葉通りここ最近ゆっくり寝た記憶がない。


しかも最愛の人との時間も全くとれていない。


さすがに気力、体力、精神力全て限界だ。



我慢しきれなくなって、まだ積みに積もった書類を途中で放棄し執務室を飛び出した。








「隼人っ!!い…る…?」



今、最も会いたい人の自室に辿り着いた俺は、扉を勢いよく開け放った。



「じゅ、十代目!?」



部屋に入り真っ先に視界に入ったのは驚きに目を見開いている隼人の姿。と、その膝の上で安らかに眠っている彼のボックス兵器、瓜の姿だった。



「あ、れ…瓜寝てるの?珍しいね膝の上で寝てるなんて」

「あ、はい。なんだか今日は機嫌が良いみたいで、朝からずっとべったりなんです。」



と、隼人も十分機嫌の良さそうなニコニコした顔で瓜の頭を優しく撫でている。



昔と比べたらマシにはなったが、それでも普段あまり懐かない瓜が甘えてくれるのが余程嬉しいのだろう。


そんな隼人を見ていると心が暖かくなって、こちらまで幸せな気持ちになってくる。



……いつもなら。



「隼人、ごめんね。」

「え?十代目?」

「瓜っ!!!」



名前を呼ばれてピクッとこちらに目を向けた瓜に大好物のニボシをチラつかせた。

そんな物一体何処から、なんて野暮な事はどうでもいい。そんな事より今の俺には重要な事がある。

ニボシを捉えた瓜は一目散にこちらに向かって走り寄ってくる。
そんな瓜にニボシを与え準備完了だ。


俺の行動の真意が掴めないのか目をぱちぱちさせている君に歩み寄って横になる。

もちろん、"隼人の膝枕"でだ。



「ちょ、じゅっ十代目!?」

「ん〜なに?」



急に慌て出す隼人を尻目に俺は目を瞑った。


漸く俺だけのものになった隼人を堪能していると、ずっと黙っていた隼人がくすくす笑い出した。



「隼人?」

「十代目、もしかして瓜に妬いて下さったんですか?」

「…どうせガキっぽいとか思ってるんだろ」



まんまと当てられてバツが悪くなった俺は隼人から顔を背ける。


だって仕方ないじゃないか。
只でさえ最近は仕事仕事で隼人とプライベートで会うことも出来なかったんだ。


それなのにようやく会えたと思ったら、隼人にべったりな瓜と、甘い顔を瓜に向けてる隼人。


面白くないにも程がある。



「ガキだなんて、そんな事思うわけ無いじゃないですか」



ゆっくり俺の髪をすきながら隼人が甘い声で言葉を紡ぐ。



「俺の中には常に貴方が愛しいという想いしかありませんよ」



…反則だろ、それ。



思い掛けない言葉に絶対に赤みをさしてる頬が情けない。



「それは十年前から少しも変わっていません」



隼人が言葉を紡ぐだけで、触れてくれるだけで、俺の中の醜い嫉妬だとか仕事の疲れだとかが瞬く間に消えていく。



「隼人って、俺の活力剤だね」

「ふふ、なんですかそれ」

「隼人がいれば何でも出来るって事」

「光栄です」



だって先程までの鬱々とした気分なんて吹き飛んで、今は本当に幸せな気分で一杯なんだ。


隼人が愛しくて愛しくてたまらない。
そんな気持ちで満たされる。



それでも一度味を占めたからにはこれだけじゃ足りない。

もっともっと貪欲にほしくなる。



「もっとチャージさせて」



ゆっくりと隼人をソファに押し倒し、我慢していた分を取り戻すかの様に瓜がいるのも忘れて隼人を堪能した。





























「そういえば十代目?まだ予定ではお仕事の続きでしたよね?」

「…………あ」























「チッ、ダメツナの奴。仕事五割増だな」

「にょおぉん!!」








end 

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