安椿希兄弟パロ



*安椿希兄弟パラレル
名字については…触れないであげて下さい((



*安形大学生、椿と希里は高校生







「兄さん!起きて下さい!朝ですから!」

「ううんもう一時間」

「遅刻するじゃないですか!」

長男惣司郎、次男佐介。 二人は布団の上で攻防戦を繰り広げていた。 これも日常茶飯事である。

「はーやーく!!」

「まだ時間あるだ…ろ…むにゃあ」

「にーいーさーん!!」

佐介が声を枯らす程叫んでも、惣司郎は起きない。 荒ぶる気持ちを抑制し、すぅ…と息を吸う。

「キリ!!」

「はい、兄様」

名を呼べばすぐに現れる末っ子、希里。 昔から身体能力には長けた男である。

「兄さんを」

「暗殺ですか」

「違う!」

「ふふ、冗談です」

そう笑みを浮かべ、希里は惣司郎の元へ歩み寄る。 彼の耳元に唇を寄せた希里は、そっと囁いた。

「……惣司郎……?早く起きろよ……起きねぇと縛って吊すぞ」

甘えた声を出してからの辛辣な言葉。 まさに、アメとムチ。 惣司郎はがばぁっと冷や汗を流しながら飛び起きる。

「おはようございます」

惣司郎は珍しく真顔で敬語になっていた。

「ありがとうキリ」

「いえ、兄様の命とあらばいつでも」

「…俺も兄様だけど」

「黙れ天才馬鹿」

「それってどっち!?天才なのか馬鹿なのか!」

◇◆◇◆◇◆

「今日の朝飯なにー」

「カレーです。朝のカレーは身体に良いそうなので」

コト、とカレー皿が並べられた。 ホカホカ立つ湯気が、カレーの香りを漂わせる。 それが食欲を誘った。

「いただきます」

三人が一様に挨拶をし、カレーを口に運ぶ。称賛の言葉の後、ふと惣司郎が、

「希里ー」

と呼んだ。 くるりと振り返れば惣司郎が希里の眼前に、カレーが乗せ られたスプーンを突き付けていた。

「ほらあーんしろ」

「何でだ!!」

「お前が大好きなお兄ちゃんがあーんしてやるよ」

「大好き…って…!!」

ぼ、と顔が赤くなる希里に惣司郎は構わずスプーンを押し 付ける。

「佐介がせっかく作ったカレーなのに、冷めちまうよ」

「うぐ…」

「おらおら」

「……一回だけだかんな」

ぱくり。 そうして惣司郎は満足そうに笑う。希里は俯いて真っ赤になりながらカレーを咀嚼していた。

「仲が良いのはよい事ですが、時間がありませんから。キリも急いで」

佐介が若干微笑みながら二人に優しく注意する。 惣司郎は軽く、希里はしっかり返事をした。 三人は全く違う性格だけれど、この家庭で良かったと、三人一様に思う。

「じゃあ俺は先に行くわ」

「お気をつけて」

一足先に大学へ向かった惣司郎。佐介はその背中を見つめてネクタイを締め直す。

「では行くぞ、キリ」

「はい!お供致します!」

こんな朝も毎日続いている、日常風景。 でもいつもいつも幸せだと感じるのは、三人一緒である。



(暖かくて、幸せいっぱい。)








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