1LDK物語 | ナノ


「ユウジ、ええ加減に起きや」
「……んぅ」
「そんなかわええ声だしてもあかんで」

ダブルベッドにいまだ毛布をかぶって丸くなっているユウジ。さっきから何度も起こしとるのに、一向に起きる気配ナシ。昨日は仕事の付き合いとかで、遅くまで飲んどったからなあ。でも俺ももう少ししたら出勤せなあかんし。

「朝飯、ユウジの好きなオクラいっぱい使たんやけど」
「………んー」
「はよ起きや、起きへんかったら捨てるで」
「………や」

や、とか。かわいすぎやろ。思わずちゅーしてしまいたくなるのを、なんとか我慢する。もう良識ある大人やからな。むく、と起き上がったユウジの髪の毛が一房はねていて、それさえも愛しい。

「冷蔵庫入っとるから。好きに食べて」
「……ん」
「ほんなら俺、仕事行ってくるわ」
「くら、」

ユウジがこちらに向かって手を伸ばしている。ん、と身体を近づけてやると、そのまま引っ張られて頬っぺたにちゅーされた。

「……いってらっしゃい」

もう。我慢しよ思てたのに。

「ん、いってきます」

やっぱ我慢できへんかった。ユウジの唇にもっかいちゅーをした。なんとも平和ないつもの朝や。