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つーかそれ、どうなの。
バネさんが呆れたように呟いて指を差した先にあるのは、俺が食べまくったみかんの残骸たちだ。ちなみに現在16個目を口に放り込むため、きれいに筋をとる作業をしている。

「みかん食いすぎだろ」
「うん、みかんうまい」
「肌黄色くなるぞ」
「黄色人種、オーショック……ぷっ」

初だじゃれを言ってみたんだけど、バネさんはいつもみたいに突っ込んでくれなかった。

「……ダビデとずっとこのままでいれたらいいのにな」

バネさんはちょっとだけ悲しそうな顔をした。卒業がつらい、とバネさんは言う。
でも俺はもう決めてるんだ。来年のことを。バネさんと同じ高校に進むって。だからあんまり悲しくなかった。