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まあ、あれやな、一言で表すならバカが好き。知性の足りなさそうなイケメンは大好物。どっちかと言うとイヌよりネコ派。せやからきりっとした鋭い目には弱いし、汚い言葉遣いで人に懐かない様にも惹かれるの。アタシ、悪趣味なのかしらね。

「あぁん?マジまたカレーとか勘弁してもらえますぅ?オレ様カレーとか飽きたしぃ」

ヒトんちのソファーでドタバタ暴れてわがままを言うのは、知性の足りない王子様。顔はイケメンやのにもったいない、ユウくん以上にモテへんでしょうね。

「アンタわがまま言うんもええ加減にしぃや。家出かなんか知らんけど、文句あるならはよ帰りぃな」
「やだね」
「ほんなら文句言わずに食え」

王子様はしぶしぶスプーンを握った。大丈夫、レトルトやけど最近のカレーはおいしいんやから。親は仕事で忙しい。ひとりでない部屋にいるだけで、一緒にいる相手が誰だろうと安心する。

「九鬼くん」
「あん?」
「好きやで」
「なっ、なに意味わかんねーこと言っちゃってんのぉ?キモいんですけど!」

ふふ、王子様。アタシは全部分かっとんの。ほら、口の端にカレーがついてる。きれいにぺろっと舐めてあげましょうね。