空になった大量の点滴袋を目の前に、婦長と私は愕然とした。 点滴係り暦三年目。今まで1日に3人がいいところ。それでも多い位なのに今じゃ一日に20人を超えていた。 「水が飲めないほど衰弱してる人がこんなにいるんですか」 「水が飲めないほど仕事が忙しいのよ」 「なるほど」 ノアの出現で仕事量がさらに増えたのだろう。水も飲む時間もないだなんて、ご愁傷様です。 「で、俺が第一実験体ってわけか」 「実験だなんて…!一番やつれて見えたのが班長さんだっただけです…。一番点滴もしに来てたし」 「はは、そうだったな。それじゃ俺はなにすりゃいんだ?」 「あ、班長さんはそこに座ってるだけで大丈夫です」 そう、このままじゃ行けないと私は立ち上がったのです。1人につき15分、科学班の皆さまの貴重な時間をいただいてのアフターケアです!これも医療班の大事な仕事です!そして班長さんが記念すべき第一号なのです。 どうぞ。と私が差し出したのはチョコレート。 「え、ヴァレンタインデイには1ヶ月早い気が「勘違いしないでください。チョコレートは高栄養だから選ばれただけです」 「夢ぐらい見させてよ」 「もう!早く食べてください15分しかないんですから」 短時間で人間良くするにゃ食べ物!栄養科大学卒業生。なんで私が医療班なのかずっと悩んでたけど、このためだったんですね!それに気づかせるために点滴係り三年間だったんですね!コムイさん!私はそう思いたい! 「どうでしょうか?一応ジェリーさんに教わって作ってみたんですけど…他にもブルーベリー、ニシン、レモン、ピーマンなんかもはいってます」 「まるで闇チョコだな…」 「失礼な。ちゃんと意味はあるんです」 恐る恐るチョコレートを口に運ぶ班長さん。そんな目しないでください。 「意外に上手い」 「よし、で、効果はでましたか?」 「そんなすぐには…あ、」 「はい?」 班長さんはにこっと笑って、 「あのさ、点滴係りに任命したの俺だって知ってた?」 「はい?」 「…意外と鈍いんだな」 「え、ちょどういう事ですか」 「じゃあ、君の部屋が俺の部屋の隣だってことは?」 「……」 「チョコレート、別名セックスミネラル。高栄養の他に強精、さらには催淫作用で心身の情熱を燃やす食べ物。なんだそうだ」 「はあ」 「つまり大胆になれってことじゃないの?」 「はいい?」 チョコレート出すとか確信犯なのかと思ってた。とまんべんの笑みを浮かべる班長さん。あれ?こんな人だっけ? 「付き合おっか」 きゅん。こんな班長さんもいいかもと思ってしまった私も、チョコレートマジックの餌食なってしまったのだろうか。 恋いする心チョコレートマジック (ヴァレンタインデイにチョコレートを渡すのには意味がある) ――――― 企画I LOVEさまにて。 妄想広がりました! ありがとうございます^^ たまる 20110120 ブルーベリー:眼精疲労 レモン:疲労回復 ニシン:気力体力を増進 ピーマン:発毛促進 back |