シュウウウウ…。

頭から蒸気が出そうな効果音とともに、私の意識は遠のいた。



目を開ける。白い天井を見て私はため息をついた。やっぱり、倒れたんだ。今月に入ってまだ半月もたってないのに、もう三回目だ。


「目、冷めたか」
「班長…」


声のする方へ首を傾ければ、椅子に座る班長が視界に入る。「いつから」と問う私に「今きた」と無難に答えた。私は知ってる。班長が休憩時間ごとに病室に顔を出してくれていたことを。聞いた私も私だけど。今まで此処で寝ていたのであろう顔に跡がついている。班長は優しい。寝たままでいるのが申し訳ないので体を起こそうとしたが班長に止められた。


「体調悪いなら何日か休め。室長には俺からいっとくからさ」
「や、大丈夫です。働けます」
「でもなあ。まだ顔色悪いし、」
「……」
「なにかあったのか?」


班長は、こういう時に限って感がするどい。間がいいのかなんなのか。だから、私はそれに甘えて話してしまう。いつも。愚痴を。不安を。それに対する答えを班長に求めて。


「なんか…」
「ん?」
「忙しい忙しいばかりで…最近、何のために仕事してるのかがわからなくなっちゃって…」
「ああ」
「そう思ったら、…気持ちに負けました。」


すみません。と頭を下げて謝る私の頭を班長はぽんぽんと撫でた。


「目先の仕事にばかりに気をとられるとな、自分の目的を見失うってのはよくあることなんだよ。特にここは厳しいしな」
「俗にいう、モチベーションが下がる、ですね。…やだなあ。何でこうなっちゃったんだろ」


ただでさえ、此処はモチベーションというか、やる気で仕事をこなしてる所がある。病は気からというし、気持ちが弱ればそれに甘えて体は思いっきり悲鳴をあげる。そして今回の私のように、プツンと電源が切れるのだ。


「人は忘れる生き物だよ」
「はい」
「意識してても仕事に熱中したりしてると、忘れちゃうんだよ。どうしても本来の目的とか、目標とかって」


「初心忘れるべからず」って言葉があるだろ?と班長は私に言う。


「ど〜…したらいいっすかねえ」
「自分の目標をしっかりと明確に意識すること。つまりデスクにはっときゃいいんじゃないか?」
「へ?何をです?」
「目標をだよ。忘れないように。紙にでもなんでも書いて見えるところに置いておきゃいい」


ああ、そっか。受験生が壁に合格と書くのもそれか。私は1人納得する。


「で、」
「はい」
「お前の目標は、なんだ?」
「私の、目標…は、」




探してごらん
(今、何のために頑張っているのか分からなくなってしまった人へ)




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企画さまにて。

妄想広がりました!
ありがとうございます^^

たまる

20110224

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