ドコドンドンドコ

太鼓の合図はアクマが現れたことを意味する。

地響きにも勝る太鼓のリズムが村、そして山に響く。この辺りは炭坑場が多いため鍋を叩いたような高い音では皆気づかないのである。こうして地響きのような音をたてていれば耳の聞こえぬ者も茶碗に水を入れておけば騒ぎに気づくのだ。

村人の出目撃報によればアクマはすぐそこの山にいたのだという。背中に大きなローズクロス入りの真っ黒な着物。それを着た私とアレンはカランカランとなれない下駄と着物を引きずりながら森へ向かった。



「ほおらあ。ぐずぐずしてるからアクマが嗅ぎつけてきちゃったじゃん」
「僕に言わないでください」
「嘘でもなんでもついてイノセンス取っちゃえばいいのに。アレンはこういう時ばっか紳士面して」
「僕はいつもでも紳士ですから」



村人の半分がサポーターだったせいか、村の守り神がイノセンスだと言えば、清く引き受けてくれた。しかし、一週間後に控える行事までは待ってほしいというのだ。これじゃエサおあずけされた犬だねえ。と言えば、アレンに無視されてしまった。



「にしても、この靴歩きにくいですね。首も足元もすうすうしてなれません…」
「下駄っていうんだって。この趣味悪い着物も全部村のサポーターさんのご意志」
「悪意の間違えじゃないですか?アクマから見て見つけやすいだろうけど、戦闘向きじゃないです。何考えてんですか」
「あたしに言わないでよ」



木の陰からアクマの様子を伺う。レベル1のアクマが30体、レベル2を1体を発見。まだ動く様子はなさそうだ。結構いるなあ。



「神田が着物きたら絶対似合うだろうなあ。ザ、日本男児だもん。」
「こんな所で神田の話しなんかしないでください」
「えへえへ妬くなようアレン」
「やめてください気持ち悪い。ほら、敵が動きだしましたよ」



へえへえ。とけだるい返事をしながらアクマへ飛びかかる。アレンはレベル2とドンパチしているようなので、私は鎌で的確に一体ずつしとめていく。







「…ねえ、アクマ増えてない?ちょっと、初日からきついんだけど…」



レベル2を倒したアレンも応援しにきている。しかし倒しても倒してもわいてくるアクマたち。足は動かしにくいは、息も切れるは、2人してぜぇはぁ。やっぱり着物きて運動するもんじゃない。せめて忍者だろ!!



「そう言えば、アレン、」
「っ、何ですか」
「私たち、西洋の陰陽師って呼ばれてるらしいよ」
「陰陽師?なんです、それ」
「ん〜エクソシストと同じようなものかな?」



アレンはなる程、と頷いて地面を蹴り上げた。そのまま何体かレベル1を破壊して華麗に着地。私はアレンの肩を叩いて残りのアクマに向けて指差した。



「go!」
「goじゃないですから!」



ちょっと休ませてよ。という悲願もむなしく、アレンに手を引かれながら私たちはアクマの群へ突っ込んでいった。



最果てへ続く海

(今日も今日とて私たちは哀れなアクマを破壊する。来る日のために)



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企画超越さまにて。

楽しかったです^^
ありがとうございました。!!

たまる

2010/01/25

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