青褪めた顔と赤い唇。


「ラビ危ない!!!」
「!」


気がづいた時にはもう遅かった。鉄パイプは既に俺の身体を突き抜けていた。


「ラビ!!!」
「…ッ」


痛みで声が出ない。思っていたよりも傷口が深いみたいさ。痛いより寒い感覚の方が、もう勝ってら。彼女は思いっきり唇を噛み締め、俺を覗きこんでいた。これはいつも彼女が悔しいときにする癖。きっと、俺を助けられなかったと後悔してるんだ。そうじゃない、俺がまだまだ未熟者だったんさ。形のよい真っ赤な唇が台無しさ。…俺の人生短かったなあ。


「ラビ、血がっ止まらない…」
「最後に、言わせてほしいんさ…」
「最後なんて言わないで…!」
「ずっと、大好き、だった。
「ラビ…」
「愛して、る…」










「な―んて言ってたのはどこのどいつよ」


真っ白な病室。一通り話し終えると、ラビは思い出したのか顔を真っ赤にさせていた。もごもご言うラビを腕を組んで睨みつけてやる。あの時、目の前でどんどん青くなっていく顔をみて、どれだけ寿命が縮んだことか。でも、こうして生きているラビを見て、ほっとした。心配かけやがって、この。私はラビにでこぴんをくらわせた。


「痛っ!ちょ、病人さ!あの時は本当に死ぬと思ったんさ!」
「第一、自分が言いたいことだけ言って死ぬなんて自己満足も甚だしいわ」
「でも、俺はあの時がなかったら、きっと、自分の気持ちに気づけなかったと思うんさ」
「ったく、アクマならともかく鉄パイプで死ぬなんて、先代のエクソシストが聞いて呆れるわ」
「お、俺はまだ死んでないさ」
「あらごめんなさい」


私がクスクス笑うと、何が面白いのか、ラビまでケタケタと笑いだした。もう、いつもの仮面つけたような笑い方じゃない。それに気づくと、本当にラビは私に気を許してくれてるんだなあと思った。そう思ったら、なんだか頬が緩んできた。


「ふふ、」
「なに笑って…あ!」
「何よいきなり」
「まだ、あの時の答え聞いてないさ」


ラビは私を見上げた。男のくせに上目ずかいなんて…可愛いと思った私はいよいよ終わりかしら。あの時といえば、あれか。あれを告白ととっていいのかは疑問だけど。私は少し考えるような素振りを見せ、


「私の初恋、ラビにあげる」と耳元で囁いた。そして、顔をさらに真っ赤にさせたラビの唇に、私はそっと口を付けた。



青褪めた顔と赤い唇。

(ラビが初々しくて、これじゃあどっちが初恋かわからないわねえ)



―――――
企画51556さまにて。

妄想広がりました!
ありがとうございます^^

たまる
20110114

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