それは恋に堕ちてから240秒後の出来事

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長い戦いは終わった。

伯爵らはエクソシスト達によって、言葉通り塵となって消えた。ノアの洪水も起きる気配はないため、これは教団側の完全な勝利といえよう。

リーバーは廃墟の間を瀕死のナマエを背負って歩いている。治療のできる場所へ向かっているのだ。
よいしょ、と、ナマエが落ちないように体制を整える。


「…ん」
「すまない。起こしちまったか
「は、ん、ちょ…?」


息も絶え絶え呟くナマエ。ああ。と答えてからややあって「一体…」とナマエは尋ねた。何が?と、聞かずもがなだ。この先に続くのは仲間はどうなったのか、伯爵はどうなったのか、ちゃんとエクソシストとしての使命を果たせたのか、だ。


「心配しなくていい。皆、無事だ。戦いは終わったんだ。」


ナマエの考えが読める程度には距離を縮めようとしてきた努力が実ったのか、ナマエはゆっくりと頷くような仕草を見せた。


「だから、喋るな。もう少し休んでてくれ。」


頼むから。できるだけ体力を使わないでくれ。いくら近いとはいえ、あとどの位で病院にたどり着くのかわからない。体力は少しでもとっておいてほしいのだ。


「はん、ちょ…」
「ナマエ、頼むから」


それでも話そうとするナマエ。聞いて?とばかりに俺のボロボロになった白衣の襟をナマエの左手が弱々しくに握る。リーバーは聞き役に徹することにした。


「あの、ね…」


私、班長に生きてほしかったの。だから、すごく頑張った。班長、ずっと好きだったの。はんちょうに恋い、した。だから…

ごめんなさい。

くぐもった声でナマエは言う。


「なんで謝るんだよ…」
「う…」
「俺もすきだよ、ナマエ、愛してるんだ。好きで、好きで、だから、」


…生きて。

生きて、生きて。これからの人生、君に注ぐから。なんて女々しいんだとなじってくれて構わないから。


「全部が終わったら、2人で世界を回ろう。パリでエッフェル塔を見て、インドでタンドリーチキンを食べて、」
「ぞう…」
「そうだな、乗ろうな」
「班長…私、まだ、やりたいこと、沢山、ある…」


なぜ、思いはいつも現実と離れていくのだろう。

言葉が見つからない。ナマエを支える腕に力が入る。その時だ「ナマエ…街だ!もうすぐだぞ、もう大丈夫。もう大丈夫だ!」


大丈夫大丈夫。と、まるで自分に言い聞かせるように言う。


「リ、バ…、     。」



それは恋に堕ちてから240秒後の出来事

―――――
企画白黒にて。

ありがとうございました^^


たまる
20110107

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