名前呼び

「……」
「……」
「あれ?辻ちゃんと紅葉ちゃんが喧嘩なんて珍しいね?」
「い、いや、喧嘩という訳ではなく…」
「わたしが怒ってるだけです」
「これまたどうして?辻ちゃん何かしたの?」
「……」
「辻が、出水妹って」
「え?」
「さっき辻にメールしたとき、そこの机の上で携帯が鳴ったんです。隊室に忘れてたらしくて。…そのとき画面に……出水妹って表示されてたんです…!」
「……ん?」
「出水って言うのはもう気にしてないけど、出水妹って登録されてるのはむかつく…!」
「ご、ごめん。そこまで気にしてるとは思わなくて…」
「散々言ってたけど!」
「え、ごめん、ちょっと待って?妹だなんだってそんなくだらないことより、君たちが連絡先交換してたことに1番驚いてるんだけど」
「くだらないことってなんですか!」
「よく連絡先交換したね?」
「…まあ、出水はよく隊室に来ますし…お使いとか頼んでたので」
「お使い?」
「辻が1人で行けないっていうお店でシュークリーム買ったりしてました。だから連絡出来ないと困りますし」
「紅葉ちゃんにメリットなくない?」
「……二宮さんが忙しいときとか、代わりに少し勉強見てもらってました」
「マジか」
「まじです」
「えー、俺を頼ってくれて良かったのにー。でもまあいつの間にか2人が仲良くなってて俺は嬉しいよ」
「もう辻にシュークリーム買ってこない」
「!?」
「あれ、俺スルー?」
「ご、ごめん、出水…」
「……」
「だから、その…また買ってきて、ほしい…」
「……」
「……出水…」
「……」
「…………紅葉」
「!」
「…紅葉、また、頼みたいんだけど…」
「……うん。分かった。…明日、買ってくる」
「…!紅葉…!」
「…だから、また、勉強教えて…し、新之助」
「りょ、了解。…ありがとう」
「…うん」
「何この雰囲気?俺邪魔者じゃない?」

ーーーーー

辻ちゃんと紅葉ちゃんがお互いの名前を呼ぶまで。コミュ障と女性苦手な子は少しずつ距離を縮めてこうなりました。カップルか。

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