これもひとつの愛のカタチ

Re memoryの雅さんよりコラボ小説頂きました!
なので名前変換はありません。
複数夢主ちゃんですので、苦手な方はお気をつけ下さいませ!
以下雅さんより。


※サンキュー様の夢主ちゃん、海ちゃんをお借りしました! でも多分わたしが書くのでキャラ違います!←
※それから二宮さんはビビリちゃん連載の二宮さんです。シスコンです。重症です。←


−−−−−−−−

その日は妙な事が起こる日だと、二宮は朝から予感していた。
理由はとても馬鹿げたものだ。
夢でパラレルワールド? の自分を見たのだ。

そこにはポニーテールの女の子、おそらく高校生だろう、その子と話をしている…いや、ものすごい勢いで押されてる自分がいた。

別に別世界の自分が誰と付き合っていようと二宮の知ったことではないし、関係もない。
そう割り切れるはずだったのだが………

(あれが…女…?)

夢で見た彼女があまりにも強烈で、二宮は内心かなり疲弊していた。
見た目は可愛らしく、かなり女性らしい体つきのその女の子は、確かにパッと見可愛いし黙っていればおそらくモテる。
そう思うのだが、いかんせん濃すぎるキャラが全てを台無しにしているようで。
二宮は別世界の自分に何故アレに惚れたんだと本気で問いただしたくなっていた。

(……まあいい。所詮ただの夢だ。どうせ会うこともない)

だから関係ない。
そう割り切って、二宮は首を振る。
頭がいたいのは気のせいだと言い聞かせた。

───その時だった。

ボフン!

頭上から、何かが自分の上に降って来たのは。

「っ!」

突然のことに、不覚にも二宮は反応が遅れる。
そのまま何かに押し倒される形で倒れこんだ。

ドサドサドサ
「うわぁ!」
「!」
「いたたた…あれぇ? なんで通路にいるん…あ!! 匡貴さん!! こんな所にいたんですね!!!」
「……は?」
「やだなぁもう何ですかその反応!! 驚いた顔も可愛いけど!!」
「……誰だ、お前」
「もうまたまた冗談言って!! 匡貴さんの愛しの彼女の海ちゃんですよー!! 」

アイ、ラブ、ユ────!!!!

そう言って自分に跨ったまま笑う彼女────夢で見た女の子、海の言葉に二宮はありえないと暫しその場で放心する。
今しがた会うことはないと割り切ったばかりなのに、これは一体なんの仕打ちだと頭を抱えたくなった。

「……とりあえず退け。説明はそれからだ」
「久しぶりの冷たい視線も素敵ですね! さっすが匡貴さん!!」
「いいから退け」
「あれ、でも機嫌悪いですね? …はっ、もしかして私に会えなくて寂しかったから、愛情の裏返し的な!?」
「……」
「もう匡貴さんったら可愛いですね!! そんなに寂しかったんですか? 寂しかったんですね!!!」
「もうお前黙れ」

喋る機関銃に気圧され、二宮は珍しく本気で疲弊した。
夢で見ていたが、現実は想像以上だ。
本当にどうして自分はコレに惚れたのか…。

そう思って二宮が再び頭を抱えた時、悩みの種はこれまたあっさりと入り込んできた。

コツ
「!」

妙に響いた靴音に、二宮は振り向く前からそれが誰なのか何故か分かってしまった。
タイミングもある意味ばっちりだ。
それ故に、殊更彼女以外はありえないと近づく靴音が訴えてくる。
見上げた視界には案の定、こちらの世界での二宮の彼女────七瀬伊織が、二人をじっと見下ろしていた。

「……」
「……」
「うわ、すっごい美人!! 髪白ーい肌もキレー!! 目も宝石みたい!! 匡貴さん匡貴さんすごいですね!!」

そう言って二宮の腹をばんばん叩く海は、完全に場の空気が読めて…いや、読んでいなかった。
良くも悪くもマイペースらしい。
けれど今回はそれが完全に裏目に出ていた。

口もとこそ笑ってはいるが、伊織の目が果てしなく冷たいのだ。
初対面の海は気づかず笑いかけているが、二宮には一目瞭然な訳で。

いつもならすぐ口を開く伊織が一言も発さないのが二宮の恐怖をさらに煽った。
これは本気で────まずいかもしれない。

「おい、伊織───」
「ずいぶん楽しそうねぇ、ニノくん」
「っ、」
「その可愛らしい子じゅんじゅんにそっくりだけど、妹さんかしら?」
「え!! 准兄を知ってるんですか!!」
「ええ、こう見えても仲がいいのよ? そこに転がってるオッサンよりもね」

そう言って非の打ち所がないくらい完璧に笑った伊織に、二宮は面倒なことになったと内心で舌打ちをする。
普段のようにからかってくれればまだ手の打ちようがあるものを、本気で怒らせては打つ手がないと顔をしかめた。

「お姉さん伊織さんって言うんですね!! ほんと美人さんですね!!」
「あら、あなたも可愛いわよ? 私より若いし、胸も大きいし、ポニーテールだし、若いし?」
「え! やだもう世界一可愛いですって匡貴さん!!」

「いやそこまで言ってないだろ」
「いやそこまで言ってないわよ」

「「……」」
「美人な伊織さんに褒められたらさすがに照れますね!! あ、でももちろん匡貴さんからが一番ですよ!!」

安心してください匡貴さんだけを愛してますぅ───!!
そう言ってKYにどや顔する海を尻目に、二宮は無言で伊織と見つめ合う。
普段は考えてることをおくびにも表に出さない彼女だが、今回はどうやらかなりご立腹らしい。
『若い』と二回も言ったことから露骨な悪意がひしひしと感じられた。

もちろん、当の本人には全くかすりもしなかったが…。

「ところで、一体いつまでそのままでいるつもりかしら?」
「?」
「首をかしげる姿も可愛いけど、ニノくんもそろそろ限界よ?(色々と)」
「あ!! そうですよねこんなに可愛い彼女がずっと乗ってたら興奮しますよね匡貴さん!!」
「さっさと降りろ」

戯言をばっさりと斬りすてて、二宮は内心フル稼働で頭を働かせる。
跨られた体勢を脱出できても、伊織の攻めるような目からは逃れられない。
戦いはまだまだこれからだった。

────のだが、

バサバサバサカシャァン

何かを盛大に落とした音に、二宮は弾かれたように視線を上げる。
そこには二宮にとって世界一可愛い妹が書類を盛大にぶちまけ、ぷるぷると小刻みに震えて立っていた。

サッと、二宮の血の気が引く。
伊織が来た時の比ではなかった。

「ぁっ…に、いさ……!」
「待て澪羽。違う、聞け」

そう言って制止をかけるが、澪羽もなかなかに人の話を書かない人間で。
何より海に跨られて手をつかれ(立とうとした途中だったので)、傍には伊織がいて、どう考えても浮気現場を押さえられた修羅場にしか見えなかった。
当の本人が何を言っても、これでは欠片も説得力がうまれない。

澪羽はぷるぷると震えたまま、とうとうその場で泣き出した。

「!」
「…に、…さんの……」
「澪羽…?」
「兄さんのっ、

バカ────!!!」

「!!?」
「不潔! 変態!! 痴漢!!!」
「ふっ!?」
「もう知りません!!」
「おい…!!」

叫ぶだけ叫んで、澪羽は生身にもかかわらずものすごいスピードで通路を一目散に駆けていく。
二宮は慌てて海を伊織に投げ捨てた。

が、

クスッ

確かに聞こえた笑い声に、二宮が思わず振り返る。そこにはスマホをぷらぷらとわざとらしく振る伊織がいた。

「あーあ、せっかく忠告してあげたのに、残念」
「! 伊織お前…!」
「ほら、早く行かないと逃げられちゃうわよ?」

「────お・に・い・ちゃん(ハート)」

「!? チッ…!」
「うふふ」

心底いやらしく笑った伊織に、二宮は舌打ちして走り出す。
その際澪羽が落としたスマホと書類も全て一瞬で拾い上げたのだから、さすが二宮は抜かりなかった。

面白くて、なおも伊織は笑ってしまう。
自分が年下相手に本気で怒る?

────ありえないわ。

そう心の中で嘯いて、伊織は二宮をからかうことにやはり全力を注ぐのだった。




これもひとつの愛のカタチ



『よく分からないですけど、やっぱり匡貴さんは走る姿もかっこいいですね!! いつでもかっこいいけど!!』
『…ええ、そうね』
じっ
『どうかしました??』
『ううん、別に』
『?』
『何でもないわ』
なでなで

(やっぱりじゅんじゅんと同じね。…邪気のない子は苦手だわ、扱いにくくて)

そう言いつつも、伊織は結局彼女の頭を撫でまわすのだった。


−−−−−−−−


ありがとうございました!

以下雅さんより後書き。



あとがき

ハルさんコラボ夢書かせていただきありがとうございました!!
もう海ちゃんめっちゃ好きです!可愛いし胸大きいし可愛いし(笑
でも私が書いたら残念賞まっしぐらでした…申し訳ありません!

最初は海ちゃんと伊織の2人でガンガンに攻めて(色んな意味で)後から澪羽がきておいしいところを持っていく話にしようと思っていたんですが…あれ??
何故こうなった( ̄▽ ̄)←

でも海ちゃんの可愛さは読者に伝えられた気がします…!←
あとうちの匡貴のシスコンが半端ないのは確実に伝わったかなと(笑)

因みに伊織視点での匡貴と海ちゃんの状況は、

・なんか跨ってる
・ハートでまくってる
・胸でかい
・ポニーテール
・若い

で、澪羽から見た3人は

・兄さんが襲われてる?!
・でも兄さんが冷酷に拒否してない=意外とノリ気…!?
・伊織さんが見てる目の前で堂々としてる
・相手の子、胸大きい…!!?

ですwww
最終的に胸の大きい女の子に襲われて満更でもない匡貴お兄様に彼女はショックを受けた模様です(笑)
はい、くだらない補足でした←


最後に、ハルさんみたいな素敵文書になりませんでしたが、喜んで頂ければ嬉しいです!!

本当にありがとうございました!

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