短編 2012〜 | ナノ
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弱者は切り捨てろ。
屍は越えて行け。

ヴァリアーはそんなスローガンを掲げていた、はずだよね。入隊したばっかりの頃レヴィ先輩から口酸っぱく言われた言葉だ。
失敗はなにがあっても許されないこと、弱者に待つのは制裁のみって入ってすぐに叩き込まれた。
現に10年も昔、ルッス先輩は大切な戦いで敗れてボスに殺されかけたらしい。あのスクアーロ先輩は自害を試みたって。
ボンゴレに新しいボスがやってきてからまだましになった方だって以前ベル先輩がつまらなさそうに言っていたのを思い出す。
昔はもっとどろどろのぐちゃぐちゃで楽しかったのに、って。

それはさておき、今の自分の状況を見てうーんと首を傾げる。これはさっきのスローガンに反しているのではないかって。

『あのー……ボス。私、自分で歩けるので。歩けなくっても這ってでもちゃんと帰りつくつもりなので降ろしてもらえませんか。隊員としての私のプライドというか、なんというか……』
「屍は踏みつけていくぞ」

にやりと振り向く我がらボス、ザンザスさんのこの笑顔ったら。きっと私を降ろしたら制裁という名で折れた左足をぐりぐり踏みつけて高らかに笑って帰路につくのだろう。私まだ屍じゃないのに。

「んなことはしねぇ、お前は自分の落とした物を見向きもせずそのままにして帰るのか」
『つまり私は物なんですか』

確かに隊服を脱ぎ捨てれば胸元にはしっかりボスの物だという“しるし”が残されている。それから首元も、もしかしたら他のところにも。
そういう恥ずかしいことをぽんっと言えちゃうの、よくない。スクアーロ相手だったら髪を引っ張るけどザンザス相手じゃ手も足も出ない。出したら出したで玩具に新しい機能がついたっておもしろがるんだろうけど。

「それだけお前を大切にしてやってるとなぜお前は気づかねぇ」

こんな時はいつも私をからかって試すようなこと言うのになんでいきなり真面目な声出すのよ。ザンザスの低い声が背中から胸、心臓に直接振動してさらに破壊力は2倍。
気づいてます、ちゃんと気づいてますよーだ。
真っ赤になったのを隠すようにボスの背中に顔を埋めた。


[END]


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