▼ 1004 無題
「三郎っ!おはよ!」
そう言って声をかけると
鬱陶しそうにしながらも
振り返ってくれる
あいつが好きだった。
「恭
よく毎朝飽きもせずに
話しかけてくるな」
「ずっと言ってるだろ?
三郎と仲良くなりてーんだって!」
「その名前呼びも
馴れ馴れしいって
何度言ったらわかるんだよ」
「これから仲良くなりゃ問題
ねーじゃん?」
ケラケラ笑っていうと
いつも通りため息を付いて
先を歩きだしてしまう。
連戦完敗
いくどとなく話しかけては
今みたいにかわされる。
あの綺麗なオッドアイに
俺は映らないのかな。
一度でいいから
まっすぐ見てほしいな
なんて思いながら
先をゆく黄色を追いかけた。
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