MHA
 不思議な出会い

いつもひとりぼっちだった。
「おかぁさん、おとぉさん、いっちゃうの」
聞いても『ごめんね』と言われるばかりで、私は幼いながらに これは仕方の無いことなんだと思った。
だから一人でも大丈夫だった。大丈夫なフリをした。結花が寂しがったら お母さんもお父さんも困っちゃうから。
だだっぴろい静かな部屋で 沢山お絵かきしたりテレビを見てたんだ。

そしたらあなたは現れた。

トイレに行って リビングに戻るとテレビの前で立ち尽くしている男の子。
真っ赤な髪の毛をしたその子、身も知らないその子に 不思議と恐怖心は無くて 気が着いたら声をかけてた。
「だぁれ…?」
聞くとゆっくり振り向いて、鋭いターコイズの目と視線が交わる。
「?おまえだれだ、ここはどこなんだよ?」
「結花のおうちだよ」
「は?なんでおれこんなところに、さっきまでとっくんしてたのに…」
名前を聞いてみると彼は轟燈矢くんというらしい。燈矢くんのお話は私にとっては未知のお話ばかりで、すごく不思議だったのをよく覚えてる。

「とーやくんは ゛ひーろー゛になるの?」
「なる!おとうさんみたいにつよくてかっこいいヒーローに…!!オールマイトだってたおしてみせるんだっ」
「おーるまい…?」
「結花、ほんとに何も知らねぇんだな…オールマイトっていうのは、」
燈矢くん曰く、誰より強いNo.1ヒーローなんだそうだ。

結局その日はヒーローとはなんたるか 人気のあるヒーローについて教えてもらった様な気がする。
随分昔のことのはずなのに、私は いつになっても 夢みたいな強烈な出会いを忘れられずに居た。

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