▼ 夏休み プール閑話
※本編『その後』の前の話です
※時系列の細かいズレはご容赦ください
夏休み直前 以前あったらしいヴィランの襲撃により、私達生徒は遠出を控えるよう学校側から通達されていた。
そこで持ち上がった 学校でプールを借りる提案に賛同して 今日に至る。
更衣室で着替えながら 久々に着る水着にドキドキしつつ、羞恥を覚え始めていた。
「ケロ 結花ちゃん ずっとタオルを巻いたままだけれど着替えは大丈夫?」
「ッ!!だ、大丈夫だよ ただ水着着るのが久しぶりすぎて恥ずかしくて、」
「隠してるから恥ずかしいのかもよ?慣れだよ慣れっ!はいっ!」
背後から元気な三奈ちゃんの声がした瞬間に 私が巻いていたタオルははぎ取られて、みんなの視線が不意に集まった。
「わっ!!!やだ 恥ずかしい…!!」
思わず両手で身体を抱きしめしゃがみこむ。
「!!なんか…」
「言いたいことは分かるよ、麗日」
「此処に峯田さんがいらっしゃらなくてよかったですわ」
「ほんとほんと!見ちゃってたら大変だったよねー!きっと!」
(見ていた女子曰く、顔を赤くして縮こまる姿がスゲー可愛かったらしい。くそっ 見せろよ…!!!峯田 後日談)
*
恥ずかしさを堪えながらシャワーを浴びて プールサイドでストレッチをしていると、男の子たちもやってきて トレーニングをするそうだった。
私達は私達で水中バレーボールをして遊んでいく。
こういう、青春みたいなのは かつて私が体験し得なかった経験で ひとりぼっちが多かった高校生時代には考えられない事だった。
身体が縮んだ理由は未だわからない。だけどこうやって過ごせる事は、素直に嬉しいと思えた。
「!!結城さんっ危ないっ!!」
「えっ?」
そう言われてハッとしたときには 球が勢い良く顔面にぶつかって 後ろによろめいた。
「いった…!!ごめん、パスとぎらせちゃった、」
顔をさすりながら謝ると、皆どんまい!とか気にしないでー!と声をかけてくれた。その優しさに感謝しつつ、己の鈍くささにガッカリもする。
合間に挟んだ休憩中 すれ違った爆豪くんに「顔面レシーブ女」と言われたのは、少し不服だった。見られてた羞恥も相まって 少し大きな声で「忘れて下さい」と叫ぶ そんな夏の思い出。
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