&Thank youA

荷物を落とさないように気を付けながら
お家への帰り道を歩いていく。
もうすぐ帰るって連絡した方がいいのかな?
依頼主さんとの受け渡し時間とかもあるかもしれないし、
そう思いながら悩んでいると、ブブッと
ポケットのスマホが振動する。
(ラインかな?誰からだろう)

箱を小脇に抱えて、スマホを取り出すと
さぶくんからの連絡だった。

『今どこ』

えと…「家の近くの 交差点前」っと。
打ち込んで送信するとすぐに既読がついて、
次のメッセージが送られてきた。なになに…

「『スーパーで卵二パック』…!?」

「今から行くの?」
『そう。
いち兄からのお願いだから絶対忘れるなよ』

文字を眺めながら内心ひえ、と声をあげる。
スーパーといえば もうとっくに通り過ぎた場所にある
なおかつ、この落としてはいけないだろう荷物と
卵という壊れやすい組み合わせ。

(…も、もっと気を付けて歩かなくちゃ)

よし、と気合を入れなおして スマホをポッケに
しまい込む。箱の中身はなんだか知らないけれど、
箱も 卵も、無事に持ち帰るぞっ


―――――――――


――――――



「…ふう、」

両手に箱。手首にビニール袋。
腕に万遍なく感じる重み。
けれどこれでようやく帰る事ができる。

無事に卵を2パックを買い終えた僕は、
スーパーを出て 改めて帰路につく。
すると再び ポケットの中でスマホが振動して
首を傾げながら取り出して見ると、
そこに表示されていた文字に絶句する。

相手は一郎さんだ。

『わりぃ
コーラ買ってきてくれねぇか』

(わかりました、っと…)
返信を打って送信した後、すぐにスポッという
音がして 今度はじろくんからのラインが入る。

『近場の百均でクラッカー買ってきてくんねぇ?』

(…クラッカー?)

食べる方のクラッカー?じゃ、ないよね…?

『鳴らす方のやつ?』と送ると
YES!というスタンプが一つ。

(…にしても 今日はやたらお買い物を頼まれる
気がするなぁ。依頼も荷物を受取る事、だし。
なんだか不思議な1日だ)

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