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▼ 14.急な呼び出し

沼澤さんを保健室で運び終えた俺は
保健室の先生からも注意をされるハメになった。
「佐々くん、まさかとは思うけど
彼女になにもしてないでしょうね??」
そう言って銀縁の眼鏡を押さえているのは
河端先生というお姉さんの先生だ。
キリッとした吊り目が綺麗と評判らしい。

「ねぇ河端ちゃんまでそんなこと言うの?」
はぁ、とわざとらしくため息を落とすと
河端ちゃんはふう、と息を吐いて
肩を竦めてみせた。
「君は下半身があれなことで有名でしょう」
「ねぇそれ学生に言うのどうかと思うし
それは誤解。ちゃんと好きな子としかヤってない」
「こら」
べし、とでこを小突かれる。
「学校でヤったヤらない言わない」
「だって」
「だってじゃない。ほら、
彼女の面倒は私がみとくから
君は授業に遅れないようさっさと戻りなさい」
「へいへい」

じゃあねーと軽く手を振って
教室へと戻っていく。つーか、
先生にまでやりちんって思われてるの
何でなんだ。それをさらっと言う方も
方だと思うけどさー。
河端ちゃん煩くないし、話しやすいし
まいっか。

なんてのんきに考えながら教室へ
戻ろうと足を進めていた矢先―――

「おい」

「…あ?」
後ろからガシッと肩を掴まれて
振り返ると眉間に皺を寄せまくった
しかめっ面の山田がいた。
「?おはよう」
「はよ。ってそうじゃねえ
お前に話がある 顔貸せや」
「はぁ?いいけど
授業どーすんの?もう始まるけど」
聞けば山田は「サボる」と即答してみせた。

あーあ。後でまーたよっちゃんに絞られん
だろうなぁ。『またお前らか〜!!』って。
つっても授業受けたくねーから全然おっけ。

山田がくるりと背を向けて歩きだしたのを見て
その後をついていく。どうやらこいつは
屋上に向かってるらしい。

「なぁ話ってなんなわけ?
つーか面貸せとか治安悪くない?」
「うるせー。後で話す。
ここじゃ言いづらいんだよ」
「はぁ…?」
なんじゃそら。わけがわからん。

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