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▼ 8.女子は強い

「女子の総意って なんで」
率直に聞くと久留井は眉を少しだけあげて
あっけらかんという。
「佐々ってバカだけど顔だけはイイもんね」
「今すげーディスられたじゃん俺」
「うるさい。とにかく!
もさい男を見るよりも あんたと
このクラスでいっちばんかっこいい
山田くんがメインだってわかったら
話題性も抜群でしょ?
これはウチのクラスが勝つわ!!」
「なんの勝負してんだよ」

はぁ、と溜息をつきながら頭をかいていると
久留井は口を動かし続けた。
「あ、因みに内容はシンデレラね」
「「は?」」
俺と山田のマヌケな声が重なって、
俺達はどちらともなく顔を見合せた。
言葉はなくアイコンタクトでどうする?と
話をするように見つめ合っていると、
他の男が声をあげる。

「待てよ!全部男でやれつったのに
結局そっちが全部決めんのかよ…!」
正直にこいつはアホかと思った。
女子に逆らうのはやめておけ。後が恐い。
と思うものの時既に遅し。

キッと男を睨むように久留井は
教卓を叩いて見せた。
「うるさい!私がルールよ!」
…久留井はなかなか横暴だった。
見た目は典型的な委員長なのに、
中身はそうでもなかったみてーだ。

「まぁ脚本とかはそっちで用意してね」
「え」
「口を出すと゛文句゛言われちゃうから。
衣装はこっちが作るから 今度採寸ね。
話はこれで終わり!男子は男子で話し合って
女子は女子で話し合うよー!集合!」
ぱんぱん、と手を叩いて号令をかける久留井に
俺達男子はもう やるしかないと悟る。

とりあえず俺は横を向いて山田に話しかけた。
「シンデレラだって。お前が姫だよな?」
「あ?なんでだよ。喧嘩売ってんのか」
「…だよなぁ、」
俺も山田も 女装なんてごめんこうむる。
困った話だ。俺達はまず二人で話し合う必要がありそうだ。

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