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今日の僕はごきげんだった。
左馬刻さんが用意してくれたシャツに
腕を通して 短いズボンをはいた。
ベルト?の付け方はわからなかったから
教えてもらって 苦戦しながらも一人で
つけることができた。準備は完了だ。
「ねぇねぇ左馬刻さん
はやくはやく、」
そう言って左馬刻さんのシャツを
引っ張ると、ぎろりと睨まれる。
「ふっふはへ」
「?」
聞き取れなくて首を傾げる。
すると左馬刻さんは自分の持っていた
歯ブラシを指差してみせた。
「歯磨き?」
聞くとうなずきが来る。
――あぁ、わかった、待ってろってことだ、
そう思ってこくこく頷くと、
ぱたぱた走ってリビングのソファに座る。
なんと、今日は初めてお外に出るのです。
自由に出させてもらうのは、初めて。
施設にいた時なんて 絶対出してもらえなかった
近くて遠い場所。
左馬刻さんは、
『遊びに行くんじゃねぇかんな』と
そう言っていた。
お外は遊びに行く所じゃないの?
と思ったけれど どうやら『お医者さん』に
会いに行くらしい。
『…お前の話を完全に信じきれた
わけじゃねぇが、念の為先生に診てもらう』
『先生?先生って、゛先生゛?
僕はお家に帰るの?』
『お前を育てた連中とはちげぇ。
家にも帰らねぇ。つうか場所も知らねぇしな。
――まぁ健康診断みてーなやつだ』
『けんこうしんだん、ぁ、それ
昔 毎日やってたよ、
不具合ないかみるから、って』
『……、そうかよ。
…診てくれる先生は凄腕の医者だ
体調で何か気になることがあんなら
その時一緒に聞いとけ。いいな』
『はーい』
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