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▼ 3.仲良く?並んで

なんでこうなったんだっけなぁ。
とか考えながら目の前の窓の外を眺める。
ぼんやりしてる俺とは違って
空はまっさらで太陽が輝いててまぶしかった。

「なぁ なんでこうなったんだっけ」
なんとなしに呟くと
「あ?」と声が返ってきたあとに、
「俺とお前が喋るからだろ」と素っ気なく
返って来る。そう。そうだ。
今こうして廊下につったって
゛山田゛と横並びしてんのは
センセーに叱られたからなんだった。


事は1限目。
何をおもったか「席替えをする」と
言い始めたよっちゃん(担任)の
思い付きによって始まった。

ウチのクラスの席替えなんて
数カ月もやってねーし
テキトーに過ごしてきたってのに
マジ何の思い付きだ?と
皆でコソコソ話す中 あみだで決められる
そうで、教卓まで名前を書きにいった。

ダチと近くになれっかなー
ってしゃべりながら結果を待って。
いざ発表されると、俺の隣は まぁ ダチだった。
新しいダチ。

「よっ」

思わず声をかけると、「ん?あぁ、お前か」
と言葉が返って来る。
少し前にダチになったこいつ…山田は、
一瞬目を見開いた後に フーンと頬杖をついていた。

「お前か ってそっけねーのな
俺と一緒なんだ、もっと嬉しそうにしてくれても
いーんじゃねーの?」
なんて冗談交じりに笑うと
「マジでお前ちゃらいのな、」
と呟かれて、また笑った。

ちゃらい なあ。そういや女子連中が
そう噂してるとかしてねーとか
言ってたな。興味ねーけど。
とりあえず座らねぇと、と ろくにみねぇ
教科書の入った机を抱えて移動させ
席につく。それから授業は始まった。
んだけどよ―――


『なぁ山田 お前いつ遊びに来る?』
『遊びぃ…?あぁあの佐々の兄ちゃんに
会うやつか』
『そうそう。兄貴にも話したら
お前に会ってみたいって』
『?俺にか?』
『そう。ブクロ代表に興味あんじゃねぇかな』

いつ行こうか どうしようか
んな予定の話から いつしか話題は
趣味の話に変わり…

『そういや山田って
週刊少年マ〇ジンとか読む人?』
『急だな でも俺も兄ちゃんも
下の弟も割となんでも読むぜ
マ〇ジンも有名なやつなら、まぁ』
『マジ…!?じゃああのさぁ
あれ知らねぇ?俺すげー好きなヤツ
あんだけど誰も読んでなくて、』

と そこまで話して 雷は落とされた。

まず笑ってたはずの山田の顔が強張り、
露骨に「げ」という顔になった。
そして周囲がざわついた。

何かと思って前に視線をやると、
俺の席の前に腕組みしたよっちゃん(担任)。

『…よっちゃん顔こえーよ?やばくない?』
ははって笑って流せねぇかと思ったけど
まぁ無理だった。
顔が和らぐどころか腕組みをし溜息をつかれる。

『山田も佐々も廊下に立ってなさい』
『えー』
『えーじゃない!はやく行く!』

ほら、と急かされしぶしぶ廊下へと
歩いていくと後ろから山田も来るわけで。
気が付いたら廊下で 二人仲良く
お空を眺めていた。や、眺めたいわけじゃねーんだけどさ。
それくれーしかやることねーし。

「つか今時廊下に立つとかやる?
信じらんねーわよっちゃん」
「まぁな」
「つかつか 俺が喋りかけたせいだよなー?
なんかわりぃ。山田まで巻き込んじまって」
「別に気にしてねーよ。
…授業そんな聞いてねぇし」

ぽそりと呟かれた言葉にははっと笑いがこぼれる
「山田もー?実は俺もなんだよね」





「廊下の二人!!!やかましいぞ!」
「「すんませーん」」

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