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▼ 27.タイムリミットは1週間

タイムリミットはあと7日。

『山田 話があるんだ。
実は俺転校が決まって…』
いや この言い方は少し堅苦しいか?
重めに言うのは俺らしくないだろ

『はよ 実は俺転校が決まってさぁ』
いやそんなに明るい気持ちでも
ねーんだよなぁ…。

(うーん)

山田になんて切り出すべきなのか
一生わかんねぇ。
けど何て言い方したって
俺の脳内でシュミレーションする
山田の反応は至って淡白な
モンなんだけどな…。

『そうなのか。元気でな』――

そうやって興味のなさそうな顔で、
声で言ってのけるんだ。
「はぁああ…」
思わずデカイため息を溢す。
「はよ。朝からでけー溜息だな」
「うん………うん?」
声を掛けられて横を見ると
そこには山田がいた。

「………山田?」
あまりのタイミングの良さに
幻でも見てんのか?と凝視する。
するとめちゃくちゃ不審なものを
見る目でこちらを見返された。
「なんだよ…」
「いや?山田だ、って思って、」
「はぁ?何言ってんだよお前」
肩を竦めながらも山田が笑う。

キュン

(いやいやいやキュンって?
山田の笑う顔がかわいいな、って?)
自分の感情にビビって
思わず胸元を押さえて擦る。

山田は確かに睫毛長くて
黒子も色っぽくて 女子からも
野郎からも(ダチとして)人気で
ルックスは勿論 性格もいいとこ
尽くしだけどよ……?

「佐々 何一人で
百面相してんだ?」
「…山田 百面相って単語知ってたのか」
「テメェは俺を馬鹿にしすぎな」
あ、ムッとした顔も可愛い。

(っていやだからかわいいって
何なんだよ わっかんねぇなぁ)

頭をガシガシかいて
机に突っ伏す。

もうすぐ授業が始まる。
チャイムが鳴ればいつも通り
よっちゃんがやって来て
いつも通りの日常が始まる。

俺は山田の隣で何気ない
時間を過ごす。それも後少しの話。

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